電力自由化は期待ほどには何も起こさない――フランスの場合:電力供給サービス(3/3 ページ)
2016年4月1日の電力小売全面自由化を控え盛り上がりを見せる電力小売市場。「電気料金が下がる」「再生可能エネルギー中心の小売電気事業者が増える」などさまざまな市場の変化に期待が高まっている。しかし、その期待は裏切られるかもしれない。電力自由化で先行するフランスの状況を、同国で電力比較サイトを運営するセレクトラの共同創業者であるグザビエ・ピノン氏に電力自由化の動向を聞いた。
日本は北欧型に進むか、南欧型に進むか
スマートジャパン 変化が小さかったフランスに対し、日本という市場はどうなると見ていますか。
ピノン氏 単純に市場を見ると、日本は8兆円市場とも言われており、単一市場としては世界最大の電力市場といえる。欧州は各国を個別に見ると日本ほどの人口はいない。米国を見ても電力自由化については州ごとに進んでいる状況で、単一市場としては言い難い。世界の中で見ても最も魅力的な市場だといえる。さらに、日本の電力価格は欧州などと比べてもまだ高く、電力自由化により競争が増えることで、顧客に新たなメリットを提供できる余地があるといえる。
ただ、ドイツや英国を含む“北欧型”に進むのか、フランスやスペインなどの“南欧型”に進むのかで、市場の環境は大きく変化するといえる。ドイツや英国などの国々では、電気料金をしっかり調べて電力会社を変更するということをしっかり行っている。一方でフランスやスペインなどは、電気料金を調べて比べようという意欲を持つ人そのものが少ない。電気料金そのものに関心が小さく、電気料金変更の約8割が引っ越し時というような状況となっている。
日本人はメンタリティとしては、北欧系に近いところがあるように見ているが、現状では電気料金を比べて変更するというような文化はない。こうした「電気料金を選ぶ」という行動がどのくらいのスピードで定着するのかによって、電力自由化による変化がどのくらいの大きさになるのかが変わってくるといえるだろう。
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