固定価格買取制度で風力発電の認定が増える、1カ月で16万kWに:自然エネルギー(2/2 ページ)
太陽光発電に偏っていた固定価格買取制度の適用対象が風力やバイオマスに広がってきた。2016年1月に認定を受けた発電設備の規模は風力が最大で16万kWにのぼった。北海道と東北を中心に大規模な開発プロジェクトが増えている。バイオマスでは木質を燃料に利用する発電所が拡大する。
木質バイオマス発電が愛知や山形で
バイオマス発電では愛知県の豊橋市で一般木質を燃料に利用する2万2100kWの発電設備が認定を受けた。愛知県や静岡県でガス事業を展開するサーラグループが建設・運営する。東南アジアから輸入するパームヤシ殻を主燃料に地域の間伐材も利用する計画だ。
間伐材が主体の未利用木質を使ったバイオマス発電では、山形県の新庄市で「もがみバイオマス発電」が6000kWで認定を受けた。このほかに長野県の栄村では間伐材などを燃料にガス化してから発電する500kWの設備が認定を受けている。
2016年1月に運転を開始した大規模なバイオマス発電設備もある。福岡県の春日市で廃棄物を燃料に利用する9686kWの発電設備が稼働した。山形県の鶴岡市では未利用木質による「鶴岡バイオマス発電所」が1995kWの発電能力で運転を開始している(図3)。
太陽光に加えて風力やバイオマスによる発電設備が増えて、実際に買取の対象になった電力量も順調に拡大してきた。2016年1月の買取電力量は33.5億kWh(キロワット時)で、前年1月の24.0億kWhから1.4倍に増えている(図4)。太陽光が20.8億kWhで最も多く、次いで風力が6.6億kWh、バイオマスが5.0億kWhである。
2015年度の累計では10カ月間で356億kWhに達した。このペースで増えていくと年間の買取電力量は430億kWh程度になる見通しだ。電力会社10社の2015年度の発受電電力量は8645億kWhだったことから、固定価格買取制度による電力が5%を占める。電力会社の水力発電(639億kWh)を加えると、再生可能エネルギーで12%の電力を供給できる状態になった。
関連記事
- 「市民がつくる」風力発電所、湾岸から石狩市の家庭5割に電力を
北海道を拠点に市民参加型の風力発電事業を展開する「市民風力発電」が大規模な開発プロジェクトを石狩市で推進している。港湾地区に9基の大型風車を設置して、石狩市の全世帯が使用する電力の5割相当を供給する計画だ。環境影響評価の手続きを経て2017年12月に運転を開始する。 - 人口2000人の村に木質バイオマスでガス化発電、電力の自給率100%へ
日本有数の豪雪地で知られる長野県の栄村で木質バイオマス発電所の建設計画が始まった。村の森林組合が地域の間伐材から木質チップを製造して供給する。年間の発電量は村の全世帯の電力使用量に匹敵して、発電時の廃熱は融雪に利用できる。発電と林業で新たな雇用を生み出す効果も見込める。 - 年間1億5000万kWhの木質バイオマス発電でガス会社が発電事業に新規参入
中部ガスは、新たに発電事業を行う連結子会社「サーラeパワー」を設立し、発電事業に参入することを発表した。新たに木質バイオマス発電所を建設し、2019年から発電を開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.