台風や爆弾低気圧でも発電、IoTと機械学習を活用する次世代風力:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
一般的なプロペラ型の風力発電機は台風などの強風時には稼働できないーー。こうした常識を覆すユニークな風力発電機を開発しているのがベンチャー企業のチャレナジーだ。同社は以前から開発を進めている「垂直軸型マグナス風力発電機」の実用化に向け、沖縄県で日本ユニシスと共同で実証試験を開始する。発電機の性能を検証するだけでなく、同時にIoTや機械学習を活用した「風力発電サービス」の開発も目指す計画だ。
IoTで次世代風力発電サービスの展開を目指す
日本ユニシスとチャレナジーが実証実験を通じて将来の提供を目指す「次世代風力発電サービス」の特徴は2つある。1つがチャレナジーが開発する垂直軸型マグナス風力発電機そのものの提供だ。これにより風の強弱や風向きの影響を受けにくく、安定性の高い発電環境の構築を目指す。さらに設置性能を生かし、ホテル、ビルの屋上の他、地理条件により制約を受ける離島での発電も行いやすくする。
もう1つが日本ユニシスのもつIoT関連技術の活用だ。実証試験では発電設備に取り付けたIoTセンサーデバイスから、ネットワーク経由でデータを収集し、機械学習やビッグデータ解析を行うことで発電設備の稼働状況を管理・分析する。発電量を「見える化」するだけでなく、遠隔・多拠点に設置した設備の異常を早期に発見し、発電量低下による経済的損失の回避やメンテナンス業務の効率化を実現するシステムの開発を目指す方針だ(図2)。
日本ユニシスではセンサーデバイスの開発から、データ収集・配信・加工・解析までをワンストップで提供する「IoTビジネスプラットフォーム」サービスの開発に取り組んでいる。今回提供を目指す「次世代風力発電サービス」をその第1弾と位置づけ、風力発電設備における遠隔監視システム構築を進めていくとしている。
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