「ベンツ」マークの蓄電池を家庭に、ダイムラーが世界展開へ:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
ドイツのダイムラーは新たに定置型蓄電池の専門子会社「メルセデス・ベンツエナジー」を設立し、グローバルへ蓄電池の展開を開始することを発表した。
定置型蓄電池システムの用途開発に専念
Deutsche ACCUmotiveは、定置型用の蓄電池システムと、自動車用の蓄電池システムのそれぞれを生産しているが、新会社のメルセデス・ベンツ エネルギーは、Deutsche ACCUmotiveが生産する定置型蓄電池システムのアプリケーション(用途)の開発と販売、実装などを担う。メルセデス・ベンツ エネルギーの顧客基盤は、一般家庭から産業向けと、自動車部門に比べて多様であるため、より多くの顧客層と接点が生まれるという利点がある。一方で、Deutsche ACCUmotiveは、今後は自動車向けのアプリケーション開発に集中できるようになる。メルセデス・ベンツ エネルギーは最初は50人で開始するが、2017年末までには200人まで人員を増強する計画としている(図3)。
ドイツ国内では、蓄電池システムについては、カーメンツ(Kamenz)とザクセン(Saxony)の両地域の電力網に蓄電システムを設置している他、パートナーシップについても既に多くの実績がある。スマートハウスを展開するモビリティハウス(Mobility House)、エネルギーサービスプロバイダーのGETECなどと提携(関連記事)するなど、さまざまなサービスを提供している。
次のステップとして、国際的なレベルでのバッテリーの販売を目指す。グローバル展開における開発については、米国のシリコンバレーにある研究機関「Mercedes-Benz Research & Development North America」などをはじめとする関連研究機関との協力で進めていくとしている。
自動車メーカーの蓄電池参入が相次ぐ
電気自動車(EV)を展開する自動車メーカーでは、家庭用および定置型蓄電池システムへの参入が相次いでる。米国のテスラ(Tesla Motors)が2015年4月に住宅用蓄電池市場に参入すると発表した(関連記事)他、日産自動車なども欧州での家庭用蓄電池の販売を発表(関連記事)。蓄電池システムは装置産業であるので、生産量が多くなればなるほど、1個当たりの生産コストを下げられるという特徴を持つ。自動車用以外にも蓄電池システムを販売することで、需要の平準化を図るとともに数の論理によるコスト削減を実現し、電気自動車のコストダウンなどにもつなげていく狙いだ。今後は他の自動車メーカーでも同様の動きが広がるものと見られている。
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