目視で見つけるトラブルの火種:太陽光発電所のトラブル対策(1)(3/4 ページ)
今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第1回は目視検査のポイントを解説する。
よくあるトラブル事例とは
実際の現場では、作成したチェックリストに沿って、架台やモジュール、ゲートなどをチェックしていく。チェック項目は、入り口の施錠の状態、盗難防止のための監視システムの設置、モジュール、架台の取り付け、ケーブリング、フェンスに至るまで多岐にわたる(図3)。
具体的な設計、施工に起因する不具合の事例として、接続箱の位置が低く浸水しているというものがあった。検査結果を報告するレポートでは、解決策として周辺部材を含めた正しい設計を行い、設置し直すように指摘した。
また、同じく施工に起因するものとして、接続箱が簡易ブロックにおいてあるだけのものもあった。その他に多い例が、金具の取り付け不良である。金具のサイズが合っていない、増し締めができていないといった例が多く、重要なチェックのポイントである(図4)。
発電所の“履歴書”の重要性
ASWでは最後に太陽光発電所内でチェックシートに記載した項目と、それに該当する写真とをマッチングさせ、オーナーに提出するレポート(報告書)を作成する。発電所のオーナーが外国人である場合も想定し、日本語に加えて英語で記録する場合もある(図5)。
こうしたレポートは単に発電所のオーナーから施工業者に対して発電所の不良箇所を客観的に示すだけでなく、発電所の施工から運転開始までの最初の履歴を残すものとして、重要な価値を持つと考えている。そして、こうしたレポートを年次点検などで継続的に蓄積していくと有用な“履歴書”となり、将来、発電所の売却を検討する場合にも役立つ。
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