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固定価格買取制度の電力が増え続ける、5月に過去最大の1850万世帯分を供給自然エネルギー(2/2 ページ)

再生可能エネルギーの電力の買取量が2016年5月に最高記録を更新した。月間で55億kWhに達し、一般家庭の使用量に換算して1850万世帯分になった。太陽光に加えて中小水力やバイオマスの発電量が増えている。下水などの廃棄物からバイオガスを生成して発電する設備が各地で運転を開始した。

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バイオガス発電が北海道から沖縄まで広がる

 固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した発電設備の規模は順調に拡大している。2016年5月には前月から45万kW(キロワット)増えて、累計で2997万kWの発電設備が運転状態に入った。新たに運転を開始した設備は太陽光が39万kW、風力が2万kW、バイオマスが3万kWである。特にバイオマス発電の広がりが顕著に見られる。

 5月に運転を開始したバイオマス発電設備の中で規模が最も大きいのは、秋田市の臨海工業地帯にある木質バイオマス発電所だ(図3)。地域の森林で発生する用途のない木材や東南アジアから輸入するパームヤシ殻などを燃料に使って、20.5MW(メガワット)の発電能力がある。年間に1億3900万kWhにのぼる電力を供給できる。環境省の地域低炭素化出資事業を担うグリーンファイナンス推進機構などが出資した。


図3 秋田市の木質バイオマス発電所の全景。出典:ユナイテッドリニューアブルエナジー

 このほかに岩手県の内陸部にある一戸町(いちのへまち)では、発電能力6.25MWの木質バイオマス発電所が5月に運転を開始している。地域の未利用木材を燃料に使って年間に4300万kWhの電力を供給する。廃棄物処理事業のフジコーが設立した一戸フォレストパワーが運営している。

 固定価格買取制度の対象になるバイオマスのうち、生物由来の廃棄物からバイオガス(メタン発酵ガス)を作って発電に利用する設備が増えてきた。5月には全国6カ所で運転を開始している。北海道が3カ所と多く、そのうちの1カ所は南部の室蘭市にある「蘭東下水処理場」である(図4)。


図4 室蘭市のバイオガス発電設備の外観。出典:月島機械

 下水の処理工程で発生するバイオガスを使って103kWの電力を供給できる。年間の発電量は42万kWhを想定している。下水処理設備を製造する月島機械が事業者になって、室蘭市からバイオガスを購入して発電するスキームだ。室蘭市は地域の資源を生かして再生可能エネルギーと水素エネルギーを拡大する「室蘭グリーンエネルギータウン構想」を推進している。その一環でバイオガス発電にも取り組む。

 北海道内では中部の美瑛町(びえいちょう)や士幌町(しほろちょう)でもバイオガス発電設備が5月に運転を開始している。同様に宮城県の気仙沼市、岐阜県の各務原市、沖縄県うるま市でも、固定価格買取制度の認定を受けたバイオガス発電設備が稼働した。

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