IoTで複数の浄水場を統合制御、節電量を使ったビジネスも視野に:エネルギー管理(2/2 ページ)
横河ソリューションサービスと関西電力は、滋賀県内にある4カ所の浄水場ポンプ設備をIoTで統合制御する事業の可能性調査に着手する。需給予測にもとづく浄水場ポンプ設備の最適な運用管理による省エネと、その節電量を活用したアグリゲーションビジネスの可能性を検証する狙いだ。
IoTでより高度な省エネへ
今回の調査対象である4つの浄水場を管理しているのは、滋賀県の企業庁である。水道事業では多くのエネルギーを消費するため、同庁は省エネ法に基づく特定事業者に指定されており、毎年一定のエネルギー消費量削減を求められる立場にある。そのため、これまでも浄水場のエネルギー消費量削減に向けた複数の取り組みを継続的に実施している。
具体的には、より省エネなポンプ機器の導入を進めてきた他、高い電力需要が見込まれる夏季の日中に、ポンプ設備の運用を工夫してピークカットを実施。さらにより少ないエネルギーで水を供給できるよう、浄水場同士による水の相互融通や、監視装置の導入による使用電力量を見える化、太陽光発電システムの導入など、さまざまな取り組みを実施している(図2)。
今回、横河ソリューションサービスと関西電力が可能性調査を行うIoTを活用した統合管理システムが実現できれば、さらなる省エネ効果が期待できる。
また昨今、2017年4月を予定するネガワット取引市場の設立に向け、複数の需要家側のエネルギーリソースを集約して需給制御を行うことで対価を得る、「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス」が注目されている。横河ソリューションと関西電力は今回の調査で、複数の浄水場ポンプ設備の統合制御による省エネ効果と、そこで得られる節電量を活用したアグリゲーション事業の可能性を模索していく方針だ。
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