発電機の点検作業を超短縮、三菱電機が薄型ロボット:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
三菱電機は電力会社などが所有する発電機を、短い期間で高精度に点検できる薄型点検ロボットを開発したと発表した。厚みは19.9mmで、発電機の固定子と回転子の間に侵入し、打診検査と撮影を実行できる。
中型の発電機にも使える薄さ
従来の一般的な保守点検ロボットは全体の厚みが30mmもあったため、約30%の発電機で隙間に入り込めなかった。同ロボットでは走行ベルトを平板で支える走行機能を独自開発することで薄型化と低振動走行による安定した点検データ計測を両立した。これにより三菱電機製の中・大型発電機(100〜200MVA以上)でのロボットによる点検が可能となった。
同ロボットを開発した三菱電機先端技術総合研究所メカトロニクス技術部門の岩粼隆至統括は「発電機は電力会社の火力や水力発電に用いられて、長さが10メートル、直径が4メートルに及ぶサイズのものもある。中心部にある回転子を回すことで電気を発電するが、回転子は重く(100トン程度のものもある)点検作業自体が大変で、1カ月以上かかる。当然、点検中は稼働できないので、点検時間を短縮したいという要望も多い。今回開発したロボットは基本的に自社の発電機の点検に使う。これまでも他社のロボットを使った点検を行ってきたが、さらに点検性能や適用範囲を広げることを目的に開発した」などと、開発の背景と狙いを語った。
なお、ロボットの長さは400mm、幅300〜480mm(調整可)、重量は2.5〜3kgとなっている。三菱電機では同ロボットを、外販はせずに同社の保守部門が採用し、点検作業に導入する方針。最初のケースは今年2月のインドネシアでの点検作業に適用する予定だ。同ロボットの点検対象となる三菱電機製の発電機は内外合わせて1000〜2000台とみられている。今後、さらなる薄型化、小型化を進めることで将来的には他社の発電機の点検にも用いる計画だ。
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