ニュース
雲と積雪を見分ける宇宙の目、日射量が分かる:太陽光(2/2 ページ)
太陽光発電所の出力を広範囲に予測するには、日射量を推定すればよい。気象衛星の出番だ。日本気象協会はひまわり8号が備える近赤外光の観測装置を利用して、地表の積雪と上空の雲を区別する情報提供サービスを開始。北海道や東北などで威力を発揮しそうだ。
可視光と近赤外光の性質の違いを生かした
可視光とは太陽光線のうち、目に見える成分をいう。近赤外光は赤色よりも波長が長い光であり、目には見えない。しかし、ひまわり8号が搭載する観測装置は近赤外光を検出できる。
可視光と近赤外光は、物体に入射したときの挙動がいくぶん異なる(図3)。図3上の左右に示したように、雲に対する挙動は同じだ。いずれも強く反射し、「白く」見える。ところが、積雪に対しては異なる。可視光は強く反射して白く見える一方、近赤外光は積雪に強く吸収されるため、「黒っぽく」見える。可視光画像と近赤外画像を比較すれば、どの部分が雲でどの部分が積雪なのか、判別できるという仕組みだ。
「新サービスは北海道や東北地方向けに提供を開始しており、今後、北陸地方や関東地方に拡大していく。SOLASAT-8 Now以外にも、日本気象協会では6時間後まで30分ごとの日射量を推定する『SOLASAT-Nowcast』サービスなどを提供している。こちらに対しても将来は近赤外光で得た情報を組み込んで行きたい」(日本気象協会)。なお、SOLASAT-8 Nowのサービス料金は、近赤外光データを使い始めた2月1日以降も変更していないという。
関連記事
- 人工知能で電力需要を予測、7日間先までを30分単位で
丸紅新電力日本気象協会は新しい電力需要予測システムの実証試験に着手する。丸紅新電力の電力小売事業で培ってきた需給調整力と、日本気象協会の予測ノウハウ、気象分析、最新の人工知能を融合させた独自の電力需要の予測技術を活用し、7日間先まで30分に電力需要を予測できるという。 - 太陽光のスペクトルデータをデータベース化、ソーラービジネスを高精度に支援
NEDOは、これまで広く利用されてきた日射量データベースに加え、新たに日射スペクトルデータベースとアジア標準日射データベースを整備し、公開した。 - ひまわり8号で分かる「日射」、2分半ごと500m
日射計を設置しなくても日射量が分かるサービスが始まる。高度3万5000キロメートルの静止衛星軌道から、日本全土を観測するひまわり8号の能力を利用する。500メートル四方の日射量を2分半ごとに提供するサービスだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.