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東京電力の新々事業計画、2020年代の自立を目指すも道険し電力供給サービス(3/4 ページ)

東京電力グループは2017年度から「新々総合特別事業計画」のもと、福島事業・経済事業・原子力事業の3本柱で変革を進めていく。国の改革案に沿って火力発電・送配電・原子力事業を他社と統合して競争力を高める方針だ。国有化の状態から脱却するために年間5000億円の利益創出を目指す。

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日立・パナソニックと家庭向けのIoTで協業

 有力企業と提携した事業拡大の動きは家庭向けでも進んでいる。家庭を対象にした新しいサービスの開発に向けて、東京電力パワーグリッドが日立製作所とパナソニックの3社で2016年11月から実証試験を実施中だ。東京都内を中心に約100戸の住宅にセンサーを設置して、電力使用量や温度の情報を収集する(図9)。その情報を蓄積・加工して住宅内の在宅状況を推定することにより、高齢者や子供の見守りサービスなどに生かす。


図9 住宅内の情報を収集・蓄積・加工するIoTプラットフォームの実証試験。PLC:電力線通信。出典:東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニック

 火力発電設備の遠隔監視と同様にIoTの技術を家庭向けにも応用する発想だ。東京電力パワーグリッドが専用のセンサーを開発して情報を収集するためのIoTプラットフォームを構築して、日立製作所が大量のデータを蓄積・加工する役割を担い、パナソニックが住宅内の機器を電力線通信でネットワーク化する。2017年3月末まで実証試験を続けて、検証結果をもとに家庭向けの新サービスにつなげていく。

 小売の分野では東京電力エナジーパートナーとソフトバンクが提携して「ソフトバンクでんき(Powered by TEPCO)」を2016年4月から提供中だ(図10)。東京電力エリアの家庭を対象に、電力と携帯電話のセット割引プランで東京ガスをはじめとする新電力に対抗する。


図10 家庭向けの新料金プラン「ソフトバンクでんき(Powered by TEPCO)」。出典:ソフトバンク

 2017年4月に始まる都市ガスの小売全面自由化では、大手のニチガスをパートナーに利用者を拡大する戦略だ。東京電力グループのLNG(液化天然ガス)基地からニチガスに都市ガスを供給する一方、ガスの販売・保安ノウハウを両社で共有して競争力を高める(図11)。初年度に関東圏で50万件の顧客を獲得して小売事業の収益基盤を拡大していく。


図11 家庭向けの都市ガス販売体制。出典:東京電力エナジーパートナー、ニチガス

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