廃棄物の提供で電気料金が割安に、JFEがリサイクル発電サービスを展開:電力供給サービス(2/2 ページ)
JFEエンジニアリングの子会社で新電力のアーバンエナジーが、4月から「パシフィコ横浜」の一部施設に電力供給を開始する。JFEエンジニアリング側がパシフィコ横浜の施設から回収した廃棄物で発電を行い、その電力を割安な料金で供給する。電力需要家側の資源リサイクルと、電力コストの削減に同時に寄与するユニークな電力供給サービスだ。
食品廃棄物でも発電、新電力事業を拡大するJFE
JFEエンジニアリングはプラント建設に関するノウハウを強みに、廃棄物を利用した新電力事業の拡大に注力している。2017年3月7日にはJFE環境、東日本旅客鉄道(JR東日本)および同社100%子会社の東日本環境アクセスと共同で、食品廃棄物を利用した発電事業を開始すると発表した。
JR東日本の駅ビルや商業施設から発生する食品廃棄物を発酵させてメタンガスを作り、これを燃料としてバイオガス発電を行う計画だ。共同出資会社のJバイオフードリサイクルを設立するとともに、新たに横浜市鶴見区に出力1800kWのバイオガス発電所も建設する。
発電所は2018年中の完成を予定しており、一日当たり約80トンの食品廃棄物を利用してメタンガスを生成し、年間に一般家庭3000世帯分の使用電力量に相当する1100万kWhを発電する計画だ。発電した電力は施設で利用する他、FITを活用してアーバンエナジーに売電する。このようにプラント建設や発電のノウハウを持つJFEエンジニアリングが廃棄物を排出する異業種との連携を進めることで、アーバンエナジーの電源を拡張できるメリットもある。
JFEエンジニアリンググループの新電力であるアーバンエナジーは2013年12月に設立。四国や北陸、沖縄を除く全国で高圧向けの電力供給を行っており、2016年度の電力販売実績は53万6000kWhを見込んでいる。ごみ焼却発電やバイオマス発電、太陽光発電など、JFEエンジニアリングが建設および運営に関わる発電設備を主な電源としており、再生可能エネルギー電源の拡大も進めている。
熊本県水俣市では、市内に水力発電所を保有するJNCと協力し、再生可能エネルギーに特化した電力供給サービスも実証中だ。JFEエンジニアリングが所有する再生可能エネルギー発電設備とJNCの水力発電所の電力を、アーバンエナジーを通して水俣市の施設に供給する。CO2排出量や電気料金の削減効果を確認した後、3者共同出資による地域エネルギー会社を設立する方針だ。この他、静岡県磐田市でも地域エネルギー会社「スマートエナジー磐田」を市と共同設立するなど、官民連携の電力供給サービスの展開も図っている。
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