ニュース
夢の国産天然ガス資源「メタンハイドレート」、4年ぶりにガス産出に成功:自然エネルギー(2/2 ページ)
日本近海の海底に分布し、国産の天然ガス資源として期待されている「メタンハイドレート」。資源エネルギー庁が愛知県と三重県の沖合で進めているメタンハイドレートら天然ガスを取り出す海洋試験で、4年ぶりにガス生産に成功した。
課題は「砂」対策
第2回の試験では、第1回と同様に「減圧法」という手法でメタンハイドレートからメタンガスを取り出している。これは坑井内の圧力を減少させてメタンハイドレートを分解する方法だ。この他には坑井内に温水を循環させてメタンハイドレートを加温て分解する「温水循環法」などがある。
減圧法で課題となるのが、出砂対策だ。第二渥美海丘にある砂層型と呼ばれるメタンハイドレートからメタンガスを取り出すと、同時に砂が出てくる。第1回の試験ではこの砂がパイプつまるトラブルが発生したため、当初の予定より早く生産を打ち切らなくてはならなかった。
そこで今回は異なる出砂対策を施した2本の生産用坑井を用い、まず一方の坑井で3〜4週間程度のガスの連続生産を行うことが1つの目標となっている。次にもう一方の坑井において、1週間程度のガスの連続生産を試みる。試験は2016年6月下旬頃まで行う予定だ。
関連記事
- 深海の熱水噴出域、天然の発電所であることが判明
海洋研究開発機構と理科科学研究所の研究グループは、沖縄トラフの深海熱水噴出域において電気化学計測と鉱物試料の採取を行い、持ち帰った鉱物試料について実験室で分析を行った。その結果、深海熱水噴出域の海底面で発電現象が自然発生していることを明らかにしたという。 - メタンハイドレートで変わる、2020年代の電力・エネルギー戦略
国産の天然ガス資源として注目を集める「メタンハイドレート」の実用化を目指して、資源エネルギー庁が三重県の志摩半島沖で天然ガスの生産実験を開始した。2020年代には商業生産を開始できる可能性が出てきたことで、将来の電力・エネルギー戦略が大きく変わりそうだ。 - 表層型メタンハイドレートの資源量調査、上越沖で6億立方メートル
経済産業省 資源エネルギー庁の調査によると、上越沖において、メタンガス換算で約6億立方メートルの表層型メタンハイドレートが見込まれるという結果を得た。 - 夢の天然ガス資源「表層型メタンハイドレート」、日本近海700カ所以上に存在か
国産の天然ガス資源として注目を集める「メタンハイドレート」。資源エネルギー庁は日本近海に眠る表層型メタンハイドレートの埋蔵量の把握に向けて調査を進めている。島根県・新潟県沖で調査を行った結果、表層型メタンハイドレートが存在する可能性がある海底部の特異構造を700カ所以上発見したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.