国産の水上メガソーラー架台、国内で27MWに導入:太陽光
樹脂成型大手のキョーラクは、同社の水上太陽光発電用フロート「ミナモソーラーシステム」の販売実績を公開した。2017年6月時点で、国内において合計約27MW(メガワット)の水上太陽光発電への納入実績があるという。
キョーラク(大阪市)が2016年秋から本格的に販売している水上太陽光発電用のフロート式架台「ミナモソーラーシステム」の採用が拡大している。樹脂成型メーカーとして長年培った経験を生かし、シンプルな構造で現場での取り扱いが簡単といった特徴がある架台で、国内において合計約27MW(メガワット)の水上太陽光発電への納入実績があるという(2017年6月時点)。
「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の買い取り価格の引き下げや、メガソーラー建設における最適用地が減少したことにより、地上設置型の太陽光発電への投資は一時期より落ち着き始めている。そうした状況の中、積雪地や斜面地とともに地水上設置型のメガソーラーに注目が集まっている。
水上設置のメリットは、水によるモジュール冷却効果により、地上と比較して発電効率が高まることや、水面のため、大規模な造成工事が不要なことなどが挙げられる。日本全国には約20万カ所以上のため池があるが、そのうち太陽光発電が設置されているのは1%以下で、まだまだ最適地が多く残っていると予想されるため、今後も有望な市場と見られているという。
キョーラクはマヨネーズの容器をはじめ、自動車部品や物流資材など、プラスチックの加工法の一種である「ブロー成形技術」のノウハウを蓄積している。水面浮上型のフロート架台についても、同じくこのブロー成形技術を利用している。フロート架台の本体は中空構造になっており、空気層によって水面に浮かせている。環境への影響として、水質汚染が懸念されるが、食品容器に適応されるレベルの基準に合格した材料を使用していることも特徴の1つだ。
ミナモソーラーシステムは、ワンタッチ式でパネル取付け座面が設置できる独自構造や、組み付け箇所を従来比50%削減した連結構造などのシンプルな製品設計により、施工効率を高められる点も特徴としている。
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