燃料電池とガスタービンの複合発電機、丸ビルに初導入:蓄電・発電機器
三菱日立パワーシステムズは、固体酸化物形燃料電池とマイクロガスタービンによる加圧型複合発電システムを、丸の内ビルディング(丸ビル)向けに初めて受注した。本システムで蒸気または温水のコージェネレーションを活用した場合、総合効率はそれぞれ65%、73%以上に達するという。
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービン(MGT)の組み合わせによる加圧型複合発電システム(ハイブリッドシステム)を、丸の内ビルディング(丸ビル)向けに初めて受注し、設置工事に着手したと発表した。本格運転開始時期は、同ビルの発電機改修工事が完成する2019年2月を予定する。
このハイブリッドシステムは、都市ガスを燃料とし、約900℃の高温で作動するセラミックス製SOFCとMGTの両方で発電する。燃料を燃焼させることなく、SOFC内部で都市ガスを改質して水素や一酸化炭素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させる仕組みだ。さらに、後行程ではMGTを使って発電することで燃料を有効活用する。
また、コージェネレーションの場合には、残りの排熱を蒸気または温水として回収するため、総合効率はそれぞれ65%、73%以上に達し、従来の発電システムに比べて顧客の工場・ビルからのCO2排出量を約47%削減することができるとする。
同社では、2016年度まで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業により250キロワット(kW)級の実証に取り組み、国内4カ所に実証機を設置して安定稼働を確認。業務・産業用の実用モデルを開発し、2017年夏より販売を開始していた。
丸ビルは、三菱地所による丸の内再構築の皮切りとして建て替えられ、2017年で竣工15周年を迎えた。三菱地所では、同ビルの発電機が改修時期を迎えるにあたって、低炭素社会の形成へ向けてさらなる省エネ・環境性の高い分散型コージェネシステムの導入に着眼し、同社のハイブリッドシステムを選定したという。
MHPSは、今回の初受注を受け、業務・産業用燃料電池の普及促進に向けた提案営業をさらに積極的に進めるとともに、同システムのさらなる性能や利便性の向上に取り組むとする。
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