東京電力PGが新会社、住宅の電力情報を生かす新サービス創出を支援:電力供給サービス
東京電力パワーグリッドは、住宅内にある機器別の電気使用状況などの情報を収集・加工・分析するIoTプラットフォームを企業向けに提供する新会社を設立。電力情報を活用した新サービスの創出に取り組む企業を支援する。
東京電力パワーグリッド(東電PG)は2018年2月、住宅内の電気使用状況などの情報を収集・蓄積・分析・加工することができるIoTプラットフォームを提供する新会社「エナジーゲートウェイ」(東京都港区)を設立し、同年4月1日から営業を開始すると発表した。家電の使用状況データを加工した情報サービスや、居住者の生活パターンを基にした機器制御など、新しいサービスの創出に取り組む企業を支援する。
東電PGは、情報技術の急速な進化、分散型電源の普及、高齢化など大きく変化する事業環境への対応に向け、送配電事業で培った技術・ノウハウやアセットなどを最大限に活用し事業領域拡大の取り組みを進めている。
その一環として2016年度から賃貸住宅事業者などと共同で、住宅内の電気使用状況などの情報を収集・分析する実証試験に取り組んできた。これらの実証を経て、事業化の見通しを得られたことから、今回IoTプラットフォームをサービスとして提供する新会社を設立することとした。
エナジーゲートウェイは、センサーから得られた電力使用状況などのデータを、IoTプラットフォームで収集・分析・加工し、サービスを行う事業者に提供する。事業者と需要家をつなぐプラットフォームを提供することで、新しいサービスの創出を支援する考え。
具体的には、これまで賃貸住宅事業者や電機、情報通信機器メーカーと実証試験を行ってきたIoTプラットフォームによる、電力などセンサーデータの収集およびその加工結果の提供や、スマートスピーカーとの連携による新たなサービス提供などを2018年4月1日から開始する。将来的には医療・介護や警備などの多様なサービスの創出に取り組む方針だ。
エナジーゲートウェイでは、2017年6月に東電PGが業務提携を発表した、住宅全体の電気使用状況から家電製品の種類ごとの利用情報を抽出する「機器分離推定技術」を持つインフォメティス(東京都港区)との提携をより一層強固にする。さらに、新たな技術の取り込みや各種プラットフォームとの連動など、あらゆるパートナーとの連携を積極的に進め、さまざまな事業者に新たなビジネス環境を提供していく方針だ。
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