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燃料電池に新しい制御方式、水素消費量を23%削減可能に蓄電・発電機器

神奈川工科大学は新しい燃料電池の制御方式を開発。燃料となる水素の消費量を削減でき、電力供給の長期化や効率化が可能になるという。

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 神奈川工科大学の板子一隆教授は2018年2月、燃料電池の新しい制御方式を開発したと発表した。燃料となる水素の消費量を削減でき、燃料電池のより効率的な活用が可能になるという。

 従来の制御方式は燃料電池の出力電力が最大になるように電圧を制御するが、燃料使用量は制御していないため、無駄が生じていたという。一方、今回開発した制御方式では、水素使用量に相当する燃料電流と燃料電池の出力の比を求め、この値が最大となる燃料電池電圧を検出し、その値に電圧を追従させる。具体的には、燃料使用量に相当する電流値を算出しながら燃料電池電圧を変化させ、燃料電池の出力と算出した電流値の比率(出力燃料比)が最も高い最大効率点を約1秒で検出できるという。

 実際の運用では、30分から1時間ごとに定期的に電流値の比率を検出することで、常に最大効率点となるよう動作させる。最大効率点の検出時に水素使用量を計測しない方式であるため、高価な水素センサーが不要で、低コストに構成できるシステムとなっているのも特徴という。

 この制御方式を用いた燃料電池で、夏場の一般家庭を想定した実証を行ったところ、1時間当たりの水素使用量は21.5リットル(20Wh)となった。これは従来の最大電力制御方式と比較して、水素使用量を約23%削減できたという。

 神奈川工科大学では今回開発した制御方式について、燃料電池自動車(FCV)におけるパワーコントロールユニットの水素消費抑制モードへの適用や、電源が遮断された現場や災害時などにおいて、燃料電池による電力供給の長期化に貢献できるとしている。

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