3次元解析で水車を最適化、流量を変えずに発電量アップ:自然エネルギー
北海道電力が既設水力発電所の水車ランナーの交換を実施。3次元流れ解析で水車ランナーの形状を最適化し、落差・流量を変えずに発電量を増加させた。
北海道電力は2018年4月、ダム水路式の水力発電所「東の沢発電所」(北海道ひだか町)の水車ランナを取り替え、最大出力を1000kW(キロワット)増の2万1000kWに改修した。
東の沢発電所は1987年2月に運転を開始。立軸フランシス水車を1台装備している。今回の出力変更は、水車内の水の流れについて「3次元流れ解析」を実施し、水車の主要部品で、水の力により回転する部分である水車ランナーを高出力な新型に交換した。これにより落差・流量を変更することなく、最大出力を増加させた。
新型水車ランナーは、羽根の形状と水の流れ・圧力を条件に解析し、羽根の形・厚さ・角度を最適化。これにより発電効率が上がり、エネルギーの損失を減らしたことで、水車の損傷が減少する特徴がある。
最大出力の引き上げにより発電電力量は、年間310万kWh(キロワット時)程度増加すると想定している。また、供給力の増加に寄与することで、火力発電量を抑制できることから、年間1980トン程度のCO2排出量削減効果を見込んでいる。
なお、3次元流れ解析はコンピュータ上で水の流れ方をシミュレーションする技術で、この技術の導入によって比較的短期間で安価に高効率の水車を製作することが可能となる。同解析は自動車の空気抵抗を計算する際にも使用されているという。
北海道電力の高効率な水車ランナー採用による最大出力増加は、今回で8例目となる。今後、他の水力発電所についても、同様の取り組みを進める方針だ。なお、今回の出力増については電気事業法に基づき、発電事業変更届出書を経済産業大臣へ届出している。
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