ニュース
FIT改正で8割以上の太陽光案件が「脱落」の可能性、JPEAが経産省に修正要望:太陽光(4/4 ページ)
太陽光発電の一部の未稼働案件について、買い取り価格の減額措置などを行う経産省のFIT改正方針について、太陽光発電協会が声明を発表。多くの案件が開発断念に追い込まれるとして、7つの修正要望を公表した。
多くが「提出期限の延長」で対応可能
先述したように、現在の買い取り価格を維持するためには、少なくとも、系統連系工事の着工申し込みを1月下旬頃までに提出し、3月中に不備なく受領される必要がある。提出がこの期限にまでに間に合わないとする理由について聞いたところ(回答数84件)、最も多いのは「林地開発許可」(48件)で、次に多いのが「農転等の手続き」(12件)となった。
では、着工申し込みの受領期限をどの程度まで伸ばせば価格変更を回避できるのか。この点ついて聞いたところ、2020年3月まで延長した場合には34件中24件が価格変更を回避できると回答。さらに、現状2019年1月下旬までとなっている提出期限を、2020年3月末まで伸した場合、75件中、54件が対応できる回答している。
JPEAが7つの要望を公表
JPEAが今回アンケートへの回答を依頼したのは110社で、回答があったのは29社。経済産業省の試算では今回の制度変更の対象となる案件は合計1700万kWとしており、JPEAは「今回のアンケート結果は全体の一部でしかない」と、より多くの事業者への影響がある可能性を指摘する。
JPEAではこうした状況を踏まえ、経済産業省に対して今回の改正案に対する7つの修正要望を公表した。
- 「着工申し込み」の期限は、受領日でなく提出日とすべき
- 「着工申し込み」の提出期限を、少なくとも2020年3月末までに延ばしてほしい
- 「連系開始予定日」は送配電事業者が機械的に決定するのではなく、既に合意された日を基本とすべき
- 買い取り価格の変更要件である「着工申し込み後の事業計画の変更」に関し、代表者の死亡、自然災害等、やむを得ない事情や発電事業者の責に寄らない事情などに配慮してほしい
- プロジェクトとしての熟度が進んでいる案件(融資契約やEPC契約締結、建設工事に着手している等)は、「実現性の高い案件」として制度変更の対象から外してほしい
- 環境アセスメントのプロセスに時間を必要としている案件は、制度変更の対象から外してほしい
- 転開始期限については、「連系開始予定日+3カ月」としてほしい
過去の認定を覆す形で、遡及的に適用するという今回の改正案。パブリックコメントでも多くの反対意見が寄せられる中、今後、何かしらの修正を行うのかどうか、経済産業省の対応が注目される。
関連記事
- 太陽光の“未稼働案件”は30GW以上に、FIT認定量は既に30年目標超え
FIT価格を議論する「調達価格算等算定委員会」で、2018年3月末時点における太陽光発電などの導入量が公開された。改正FIT法に移行した認定容量は約70.1GWで、未稼働案件は30GW以上残っていることが明らかになった。 - 太陽光発電の“長期未稼働案件”、FIT価格を引き下げる方針に
資源エネルギー庁は、FIT初期に認定を取得した太陽光発電の長期未稼働案件に対し、買取価格の減額などを行う方針を示した。 - 改正FITで転機となった太陽光発電、今後求められる視点は何か
適正な事業計画の策定、定期点検の義務化など、2017年の太陽光発電市場は改正FIT法の施行で大きな転機を迎えた。本稿では改正FIT法によって変わったポイントを振り返るとともに、今後の太陽光発電事業に求められる視点や技術を解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.