洋上風力発電の導入を円滑化、設備の維持管理基準を策定へ:自然エネルギー
経済産業省と国土交通省は洋上風力発電導入の円滑化に向け、設備の維持管理技術に関するワーキンググループを立ち上げる。洋上風力発電設備の維持管理に関する議論を行い、年度内に維持管理に関する基準を策定する方針だ。
経済産業省と国土交通省は2018年12月10日、洋上風力発電導入の円滑化に向け、洋上風力発電施設検討委員会に維持管理技術ワーキンググループを立ち上げ、洋上風力発電設備の維持管理に関する基準の検討を開始すると発表した。
洋上風力発電の導入適地として港湾が有望視されるなか、2016年度に改正港湾法が施行され、港湾区域における水域占用などのルールが整備された。これを受け、同制度を活用して北九州港や鹿島港で洋上風力発電事業者が選定されるなど、国内の複数の港湾で洋上風力発電のプロジェクトの進展が期待されている。
洋上風力発電の導入のさらなる円滑化に向け、経済産業省と国土交通省は、電気事業法と港湾法の各法に基づく審査手続きの合理化や事業者の負担軽減を図るため、港湾における洋上風力発電施設検討委員会を設置し、洋上風力発電施設に係る基準類の検討を進めている。
港湾に洋上風力発電施設を導入する際には、当該公募対象施設等の維持管理の方法についての記載が必要となる。このため、これらの検討の一環として、港湾管理者による的確な審査の実現に向け、同委員会に維持管理技術を専門とする有識者により構成される維持管理技術ワーキンググループ(WG)を立ち上げることとなった。
WGの座長は清宮理氏(早稲田大学 名誉 教授)が務める。その他、池谷毅氏(東京海洋大学 学術研究院 海洋 資源エネルギー 学部門 教授)、岩波光保氏(東京工業大学 大学院 理工学研究科 土木工学専攻 教授)、菊池喜昭氏(東京理科大学 理工学部 土木工学科 教授)、本田明弘氏(弘前大学 地域戦略研究所長)が参加する。飯田誠氏(東京大学 先端科学技術研究センター 特定准教授)が参画する。
この他、オブザーバーとして経産省、国交省の他、電源開発、東京電力ホールディングス、新エネルギー・産業技術総合開発機構、海上・港湾航空技術研究所 港湾空技術研究所、日本風力発電協会が参画する。事務局は経済産業省 産業保安グループ 電力安全課、国土交通省 港湾局 海洋・環境課、港湾空総合技術センター 洋上風力推進室が務める。
同委員会では、WGでの議論を踏まえ、2018年度中に洋上風力発電設備の維持管理に関する基準の策定を行う計画だ。
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