卒FIT電力を自治体に寄付できる、ふるさと納税サイトのトラストバンクらが新サービス:太陽光
ふるさと納税のポータルサイト運営などを手掛けるトラストバンクと新電力のV-Powerは、共同で住宅太陽光発電の“卒FIT電力”を自治体に寄付できるサービスを発表した。
ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」の運営などを手掛けるトラストバンクは、新電力のV-Powerと共同で、住宅太陽光発電の余剰電力を自治体に寄付できる新サービスを発表した。2019年11月以降「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」による電力買取が満了となる、いわゆる住宅太陽光発電の“卒FITユーザー”を対象としたサービスで、2020年度中に1万件の契約を目指す。サービスに参加する自治体も募集する。
提供する住宅太陽光発電の卒FITユーザー向けのサービスは3種類。1つ目は、太陽光発電の余剰電力を任意の自治体に選んで寄付(0円で売電)できるというものだ。2つ目は寄付または売電を行うと、ふるさとの納税のように、寄付先の自治体から対価として地域の特産品や、特定地域で利用できるポイントなどの返礼品を受け取ることができるサービス。3つ目は、卒FIT太陽光の余剰電力を信託し、電力会社がその電力をJEPXや他社に売電した際、その利益の一部を受け取れるというサービスだ。
これらのサービスは、トラストバンクが取次事業者の立ち位置となり、卒FIT電力の買い取りや寄附の申し込みや、自治体の窓口となるプラットフォームの運営を行う。V-Powerは卒FIT電力の買取契約、寄附や信託を通じた電力供給を担う。
トラストバンクはふるさと納税関連のポータルサイトを運営しており、全国の自治体に対する広い営業ネットワークを持つ。V-Powerは2010年設立の新電力で、発電事業や小売電気事業を手掛ける他、地域新電力の立ち上げに関するコンサルティングサービスなどを展開している。今回発表したサービスではこうした両社の知見やノウハウを組み合わせ、エネルギーの地産地消を目指すという。
既に寄付および売電先となる売電として、群馬県太田市および中之条町の参画が決まっている。それぞれおおた電力、中之条パワーという地域新電力が設立されており、寄付や売電によって得た電力は各社を通じて公共施設などに供給するという。トラストバンクとV-Powerでは、サービス開始となる2019年11月までに、100の自治体の参画を目指す方針だ。なお、サービスの先行申込受付は同年9月から開始する予定で、それまでにより詳細なプランも発表する予定としている。
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