国産の「らせん水車」が国内初稼働、農業用水路の低落差でも発電:自然エネルギー
岩手県一関市に完成した農業用水路を活用した小水力発電所に、日本工営が開発した「らせん水車」が採用された。国産の商用らせん水車が日本国内で導入された初の事例になるという。
日本工営(東京都千代田区)が自社開発・製造した「らせん水車」が岩手県一関市に完成した八幡沢発電所(岩手県一関市)に採用された。国産の商用らせん水車が日本国内で導入された、初の事例になるという。2019年4月10日に運転を開始した。
八幡沢発電所は、地域の農業用水路の維持・管理を担う照井土地改良区が事業主体となって農業用水路を活用した小水力発電所で、発電電力は全て東北電力に売電し、建設コスト回収後は農業水利施設の維持管理に充て、農業者の負担の軽減を図る計画だ。
らせん水車は、低落差で発電でき、枯れ葉などのゴミが詰まりにくい特徴があるため、農業用水路を活用した小水力発電に適している。同土地改良区では、その特徴に早くから着目し、同地区内にある小規模発電所で海外製のらせん水車を導入しており、今回が2例目となる。既存の海外製に対して維持管理の改善が期待できることから、同発電所では日本工営が開発・製造した国産水車が採用された。
水車の寸法は直径2.0m×長さ9.6m。八幡沢発電所での最大落差は2.51m、使用水量は最大1.346m3/sで、発電出力は最大19.9kW(キロワット)、常時9.3kWとなり、年間発電量は11万2759kWh(キロワット時)に達する。
日本工営では、2015年6月〜2016年6月に小鷹井堰地点(鹿児島県薩摩川内市)で、らせん水車発電(出力30kW)の実証試験を実施。また、2016年7月〜2017年6月には商用国産らせん水車製造を目的とした模型実験などの研究開発を行い、2017年7月に販売を開始した。
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