再エネを生かす新型発電設備、太陽光×蓄電池×エンジンの「トリプルハイブリッド」:蓄電・発電機器
三菱重工が太陽光発電とエンジン、蓄電池の3種類の電源を使う「トリプルハイブリッド発電設備」を新開発。太陽光発電の出力変動を吸収しながら、安定的に電力供給が行えるのが特徴だという。
三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET、相模原市)は、太陽光などによる再生可能エネルギー発電とレシプロエンジン発電および蓄電池を組み合わせた「トリプルハイブリッド自立給電システム」を開発した。出力が変動しやすい再生可能エネルギーを最大限に活用しながら、3種の電源を組み合わせることで電力を安定供給できるのが特徴だ。
既にMHIETが本社を構える相模原工場内で実証設備が稼働している。発電設備を「EBLOX(イブロックス)」、制御システムを「COORDY(コーディー)」と名づけ、多様な電力供給ニーズに応えるソリューション提案を行う体制を整えた。
トリプルハイブリッド自立給電システムは、天候などに左右されやすい再生可能エネルギー由来電力の割合が大きくなると電力供給量が不安定となる現象への対応手段として、MHIETの技術基盤を有効活用して開発した。再生可能エネルギーによる電力の変動を蓄電池で吸収し平準化させるとともに、天候変化や昼夜の時間帯変化に発電量が左右されないディーゼルエンジンやガスエンジンによる発電がバックアップする仕組みとなっている。
また、この給電システムのエネルギー制御システムは、多様な電源の組み合わせに対応して構成機器の運用を最適化するため、運用コストの低減につながるとする。併せて、蓄電池のインバーターには、電源ミックスによる並列運転時に発生する負荷のアンバランスや突発的な変動への安定化能力を与えている。さらに、蓄電池の素早い充放電機能を活用することで、商用系統との連系においてもエンジンと蓄電池のダブルハイブリッドシステムとして、給電時間の短縮や今後の電力需給調整で要求される調整力の高速応答を実現することも可能という。
相模原工場内で稼働している実証設備は、300kW(キロワット)級の太陽光発電設備、250kWh(キロワット時)の蓄電池設備、500kWのガスエンジン発電設備、付属機器および制御システムで構成され、全発電量を工場内で利用する。多様な自立運転試験を行えるように、系統電力線から独立させることが可能で可変負荷抵抗器も備えている。
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