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再エネ普及のカギとなる「需給調整市場」が本格始動、東電や関電がVPPで参入:エネルギー管理(2/2 ページ)
再生可能エネルギーなどの出力が変動する電源の導入拡大に伴い、電力需給の「調整力」の取り引きに注目が集まっている。2021年4月には調整力を取り引きする「需給調整市場」がスタートし、東京電力や関西電力が参入を表明。工場やビルなどの電力需要家にも収益機会の可能性がある新市場だ。
需要家へのメリットの明確化がカギに
「2050年のカーボンニュートラル」を目指す日本では、今後さらに再生可能エネルギーの導入拡大が見込まれる。それに伴い、系統の安定化に役立つ調整弁として、需給調整市場の拡大が期待されている。需給調整市場は4月の市場開設以降、一部地域での調達不足が見られるが、一日平均で2万8000MWの入札があるなど、概ね順調な推移を見せているという。
既存の設備資産を生かしてインセンティブ得られるなど、調整力の提供には需要家にとってもメリットがある。市場への参加には、簡易指令システムの工事や、事前審査への合格などの条件があるが、最近ではエネチェンジが電力需要家向けにVPPの構築と市場への参加を支援するサービスを発表するなど、選択肢も広がりを見せつつある。
今後の焦点の一つとなるのが、供給力を提供する需要家に対するメリットの明確化だ。需給調整市場やリソースアグリゲーターが構築するVPPへの参加で稼げるというインセンティブが明確になれば、調整力の拡大と再エネ普及の後押しになる。
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