廃棄していた「茶かす」をバイオマス燃料に、国内初のボイラーシステムを導入:自然エネルギー
Daigasエナジーが茶かすを燃料とするバイオマスボイラーシステムを、和歌山ノーキョー食品工業(和歌山市)の海南工場に導入。茶かすを主たる燃料とし、オンサイトで自燃させて蒸気利用するバイオマスボイラーシステムの設置は国内初になるという。
大阪ガスの100%子会社であるDaigasエナジーは2021年9月21日、茶かすを燃料とするバイオマスボイラーシステム「D-Bio Steam」を、和歌山ノーキョー食品工業(和歌山市)の海南工場に導入すると発表した。茶かすを主たる燃料とし、オンサイトで自燃させて蒸気利用するバイオマスボイラーシステムの設置は国内初になるという。
和歌山ノーキョー食品工業の海南工場では麦茶飲料などを製造している。製造時に発生する茶かすは、含水率が60〜70%と高く安定燃焼させることが難しいため、燃料として有効利用できず、従来は廃棄していた。
今回導入するバイオマスボイラーシステムは、大川原製作所製の流動床炉と、三浦工業製の排ガスボイラーを組み合わせ、Daigasエナジーの燃焼技術・廃棄物処理技術を活用して構築したもの。水分の多い物質でも安定燃焼できる仕組みを実現し、茶かすの安定的な自燃と排ガスボイラで発生した蒸気の生産工程への利用を可能にするという。
この新型ボイラーシステムの導入によって同工場では、既設の蒸気ボイラーで使用する燃料ガスを年間約40万m3を削減でき、約600tのCO2削減効果を見込む。さらに年間約9000t排出される茶かすの廃棄物を、年間約90%削減できるという。
なお、今回の設備の導入に当たっては、JA三井リースが設備の保有者となり、Daigasエナジーがリースを受けた上で和歌山ノーキョー食品工業の工場に設備を設置し、加工サービスおよびメンテナンスを提供する。設備の本格稼働は2023年5月を予定している。
今回開発した新型ボイラーシステムは、茶かす以外にもコーヒーかすや廃菌床などを排出している工場への設置が可能であり、Daigasエナジーでは今後幅広く提案を進める方針だ。
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