建設現場に必須の発電機を「水素」でCO2フリーに、東急建設が実証導入に成功:蓄電・発電機器
東急建設がデンヨーが開発した燃料電池タイプの可搬型発電機を建設現場に実証導入。実用性を確認できたとし、今後本格的な導入を目指すという。
東急建設は2021年12月14日、建設現場の脱炭素化に向け、現場で使用する「可搬型発電装置」を水素を、使う燃料電池式とすることで、発電機の発電時におけるCO2排出量をゼロにできることを検証したと発表した。デンヨーが同年4月に開始した「可搬形発電機の燃料電池化の実証」に同社が参画して実現した。
可搬型発電装置とは、持ち運んだり移動させたりできる発電機で、多くの建設現場で利用されている。現状、その多くの場合ディーゼル燃料を利用して発電する方式となっており、同発電装置を主力製品とするデンヨーでは、脱炭素化のニーズに向けて、燃料電池方式の発電装置を開発していた。
今回の実証では、このデンヨーが開発した燃料電池式の可搬型発電装置を、2021年10月に実施した「RS国道246号池尻地区共同溝補強工事」で活用。通常の可搬型発電装置と同様に利用できるかどうかなどの性能面や発電能力、扱いやすさ、運転中の発電装置の評価(騒音、排熱、振動)、高圧水素ガスの取り扱い(運搬、火気離隔距離の確保)などを検証した。
その結果、鉄筋切断機、送風機などの負荷機器使用時において、安定した電力供給を行えたという。出力は最大3.2KW程度なのに対し、出力電圧は100V±2%以内と安定していたとしている。
また、搬入・荷おろし時の空頭制限高が6メートル未満と非常に厳しい制約がある中、3tクレーン付き4t車を使い、水素ボンベ単体をバラして持ち込む対応としたことで円滑で安全な作業を行うことができたという。この他、静音性や排熱、振動、高圧水素ガスの取り扱いについても問題がなかったとしている。
今回の結果を受け、東急建設では燃料電池式の可搬型発電装置について、本格的な導入の実現を目指す方針だ。
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