産業用蓄電システムの最新動向、これからの電力業界の展望を見据えた新製品も続々!:蓄電・発電機器(3/3 ページ)
産業用の蓄電池市場に新たな動きが出始めている。自家消費やBCP対策としてはもちろん、VPPや蓄電池発電所など、これまでなかったニーズも顕在化してきている。「スマートエネルギーWeek2022 春展」より、注目のソリューションをピックアップ。
YAMABISHI/一体型orセパレート型、過積載率300%を実現する新製品も
YAMABISHIの産業用蓄電システムには、コンパクトな筐体に双方向電源・蓄電池・MPPT DC/DCコンバータをオールインワンで搭載した「蓄電池一体型」と、用途に合わせて電源容量・MPPT DC/DCコンバータ容量・蓄電池ユニット数を選択可能な「蓄電池セパレート型」がある。蓄電容量12.4kWhの小容量からメガワットクラスの大容量まで、幅広い選択肢が用意されている。公共施設(学校・福祉施設・公民館・警察署・消防署・道の駅など)、工場、病院、オフィスなどに設置する場合、スペースが限定されるケースも少なくないが、さまざまなラインアップがあるのでシステム構築も容易だ。
独自の新技術SmartSCにより、最適化制御が可能。36時間先までの気象予測データから太陽光発電量予測を、電力消費実績データから電力消費量予測を行い、電力消費に対する発電量の余剰・不足を割り出し、そこから蓄電池の適切な充電率をマネジメントする。この制御により、太陽光の発電能力を最大限に高め、より効率的な再エネ利用が可能になったという。
同システムは、自家消費ソリューションとしてはもちろん、VPPソリューションとしても期待されている。通常時はピークカットなどの運用を行い、アグリゲータからの指令に応じて、任意のタイミングで充放電を実施。電力需要に合わせて、蓄電池を秒単位で高速制御することができる。
2022年春には、コストダウンを実現した新モデルも発売予定。太陽光の過積載率を300%にまで高めることができるなど、これまで以上に多様なニーズに応え得るものとなっている。
ネクストエナジー/最長15年保証、環境省の補助金対象としても実績
ネクストエナジー・アンド・リソースは、蓄電容量153.6kWhの産業用蓄電システム「LEVOLZA」を展示。同製品の特長として次の3つを挙げる。1.10年保証+5年延長保証(有償オプション)=最長15年保証。10年使用でSOH(劣化状態を表す指標)70%を保証し、5年延長時(11〜15年目)はSOH60%以上を保証する。2.安全性を重視した電池。内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、熱安定性が高いリン酸鉄系リチウムイオン電池を採用している。3.低価格の実現。システムをワンユニット化することでコスト低減を図った。
同社では、LEVOLZAが環境省の産業用蓄電池補助金「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の対象製品であることをアピールし、企業の自家消費ソリューション、電気代削減、あるいはBCP対策としての導入を提案する。
チントソーラー/公共・産業用から容量1434kWhの大規模施設用まで
チントソーラーは、蓄電容量73.7kWhの公共・産業用蓄電システム「CPS ES-30kW/73.7kWh」と、239kWhhから1434kWhの大容量まで拡張可能な中・大規模施設用蓄電システム「CPS ES62.5kW/239kWh」「CPS ES-125kW/239kWh」をラインアップする。
公共・産業用蓄電システムは既に各地に実績を持つもので、自家消費、BCP、ピークカット・ピークシフト、外部制御など多数のアプリケーションに適応する。442.2kWhまでの容量拡大が可能であり、重塩害地域への設置も可能。LFPセルを採用し、自動空調システムを装備。逆潮流の防止、PV&蓄電の出力制御、SOC均衡制御などの機能を持つ。
中・大規模施設用蓄電システムは、完全オフグリッド対応で、マイクログリッドにも適応。モジュラー設計により、蓄電池クラスターの並列損失や故障リスクを低減し、負荷状況に応じてシステム全体をスマートに制御する。
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