FIT終了後の中小規模太陽光をどうすべきか――政府が長期稼働に向けた施策を検討:太陽光(3/3 ページ)
日本の主力電源として期待される太陽光発電。既に導入されている太陽光発電の長期稼働を支える施策として、政府では小規模な発電設備を集約(アグリゲーション)する方法を検討中だ。
「卒FIT案件」の買い手探しが課題に
家庭用の太陽光発電は、すでに「余剰電力買取制度」の買取期間10年が満了し、2019年11月以降、「卒FIT」を迎える案件が順次増加しており、当該発電者は自家消費または相対契約にて売電が可能となっている。
FIT期間中、大半の家庭発電者は旧一般電気事業者に売電しているが、卒FITを迎えた約103万軒(2022年3月末時点)のうち、新電力等へ買電事業者を変更した割合は約14%となっている。
家庭もしくは屋根置き事業用太陽光であれば、発電した電力を自家消費することも1つの選択肢となるが、野立ての事業用太陽光ではこれは現実的ではない。
よって既設の太陽光発電を長期間、運転継続するには、20年間のFIT調達期間終了後も、当該発電量を適正な単価で買電する買い手が存在する必要がある。
再エネ比率の高い小売電気事業者や地域貢献を重視する事業者(需要家を含む)が、この買い手となることが期待されているものの、あくまで自由取引であるため、その実現性は不透明である。
欧州では、FIT期間終了後の長期電源化を促すため、主に小規模案件を対象とした制度的措置が講じられた国も存在する。例えばドイツでは、送配電事業者が2027年末まで、一定価格(市場価格から販売費用を差し引いた額)で買い取るオプションが設けられている。
これは「優遇」措置とはなっていないため、あくまで保険的な位置づけであると考えられるが、日本でも同様の備えをしておくことが望ましい。
再エネ大量導入小委における現時点の検討の視点は、小規模太陽光「電源」の集約であり、これ自体は望ましいことであるが、これだけでは課題解消が難しいのであれば、「買い手」側の集約・連携も検討すべきと考えられる。
先述の四国電力の事例にならいながら、旧一般電気事業者や新電力が連携し、エリア大の(もしくは広域的な)一種のプール的な仕組みとして、小規模案件も漏らさず取得可能な仕組みの創出を検討することも一案ではないだろうか。
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