都市ガス脱炭素化のカギ「合成メタン」、国内外の事業化とコスト試算の最新動向:エネルギー管理(5/5 ページ)
都市ガスなどのガスエネルギーの脱炭素化策として期待されている「合成メタン」。その普及を目指すメタネーション推進官民協議会の検討会で、合成メタンの事業化に関する国内外の動向と、コスト試算に関する情報が公開された。
合成メタンの環境価値の扱い
合成メタンは、既存のLNG/都市ガスインフラがほぼそのまま使用できるため、少しずつガス導管への混合率を上げていき、シームレスに移行を進めることが可能である。
他方このことは、合成メタンは必ず天然ガスと混合した状態であるため(ガス導管を経由する場合)、両者を物理的に分けることが出来ないことを意味しており、環境価値の移転という観点では課題がある。
なお現在もすでに、都市ガス導管には一定量のバイオガス(バイオメタン)が混合されているが、これも区別は出来ない状態である。
このため天然ガスと混合した合成メタンの価値を区別するためには、何らかの認証制度や、合成メタンの環境価値だけを切り出して移転・取引する仕組みの整備が必要となる。これは来年度以降の検討課題と位置付けられている。
合成メタン導入拡大に向けた支援策
上述のとおり、当面の間、合成メタンの費用は都市ガス費用を大きく上回ることが予想される。需要が創出されなければ、効率的なサプライチェーンの構築に向けた大規模投資を行うことは非常に困難となる。
このため水素・アンモニアでは、化石燃料との価格差を補填するための支援制度「CfD(Contract for Difference)」の導入が予定されている。合成メタンもアンモニアと同じく、水素キャリアの一つであることから、同様の支援策を適用することも一案とされる。
また現在、大手ガス小売事業者はエネルギー供給構造高度化法のもと、一定量のバイオガスを導入することが義務付けられている。
合成メタンについても、この高度化法義務の対象としたうえで、調達価格が割高となる分については、ガス託送供給料金原価に含める案についても、比較検討されている。
事業者が大規模投資に踏み切る予見性を確保するため、支援策の内容やCO2カウントに関する国際的なルール整備などが急務とされている。
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