ペロブスカイト太陽電池の市場は35年に1兆円規模に、タンデム型がけん引:太陽光
富士経済は2023年3月、ペロブスカイト太陽電池などの市場展望をまとめた「2023年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」を公表した。それによると、ペロブスカイト太陽電池の市場は、2035年に1兆円規模に拡大するという。
富士経済は2023年3月、ペロブスカイト太陽電池などの市場展望をまとめた「2023年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」を公表した。それによると、ペロブスカイト太陽電池の市場は、2035年に1兆円規模に拡大するという。
新型・次世代太陽電池の研究開発は、日本でも関心が高まっているが、商用化は海外が先行してる状況にある。有望なアプリケーションとして、建材一体型太陽電池や建物据付型太陽電、既存の太陽電池と組み合わせたタンデム型太陽電池、IoTデバイス用のセンサー電源などが注目されている。また、商用化にのいては、色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池が先行しているが、今後は参入企業数が多く、実証やサンプル出荷が進んでいるペロブスカイト太陽電池の市場規模拡大が期待されるとしている。
ペロブスカイト太陽電池は一部で商用化が進んでいるものの、実証段階のメーカーが多く、用途としては、IoTデバイス、建材一体型太陽電池、結晶シリコン太陽電池に重ね合わせることで発電効率向上が期待されるタンデム型が有望としている。
タンデム型は、結晶シリコン太陽電池の高付加価値化製品としての展開や既存の生産ラインを活用した生産体制の確立などが可能なことから、大手の結晶シリコン太陽電池メーカーによる開発も増加傾向にある。量産に向けて、欧州・中国メーカーを中心に動きが活発化しており、パイロットラインの稼働と生産技術の検証などを経て、2020年代半ばに量産が本格的に進む見通し。特に中国メーカーは大企業や政府機関の支援を受けて、ギガワット規模の生産体制構築に向けた資金調達と設備投資を進めている。
今後はタンデム型がけん引することで市場が拡大し、2035年には1兆円規模に拡大すると予測した。
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