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容量市場を補完する「予備電源制度」――調達量と費用負担の概要法制度・規制(5/5 ページ)

2024年度以降に本格的な運用がスタートする容量市場。政府では容量市場を通じた調達量の抑制と、控除量のリスクをカバーするための対策として「予備電源制度」の創設を検討中だ。このほど同制度の調達方式や費用負担に関する詳細が議論された。

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予備電源の費用負担

 従来の容量市場では、供給力確保義務に基づき、その調達費用の大半(H3需要の約106%相当分)を小売電気事業者が負担し、残り(7%)を一般送配電事業者が費用負担している。

 他方、kW公募は、本来小売事業者が調達すべき供給力について、送配電事業者が調整力公募という形で便宜的に調達すると整理され、調整力公募と同様に、託送料金による費用回収が行われている。

 またこれまで未実施であるが、最後のセーフティネットと位置付けられる「電源入札」は、一般送配電事業者による託送負担となっている。

 予備電源Aは大規模災害等の容量市場が想定していないリスクへの備えであり、予備電源Bも実質的にAと同じ役割を果たすことから、通常必要とする「供給力の外側」にあるものとして、AとBを一体で捉え、一般送配電事業者による託送負担とする案が示された。

 ただし、本来、予備電源Bは容量市場メインオークション調達量を抑制(控除)したゆえに必要となった「保険」であるため、予備電源Bという「衣替え」により、容量拠出金の負担者が小売電気事業者から一般送配電事業者に変わることに留意が必要である。

 なお、予備電源を具体的に立ち上げるプロセス(kW公募等)の費用負担の在り方については、今後の検討課題として残されている。

予備電源制度の実施主体

 予備電源の調達等のプロセスは、全国大での供給予備力の評価等に知見を持ち、容量市場メインオークションの経験を持つ電力広域的運営推進機関(広域機関)を実施主体とする。

 なお、kW公募は一般送配電事業者が調達主体となっているが、予備電源の立ち上げプロセスの主体については、今後の検討課題として残されている。

 制度の詳細についてはさらに検討が必要であるものの、今回の制度検討作業部会をもって、予備電源制度に関する主要な論点が一旦すべて整理された。

 本来は、休止火力や自家発電源、原子力発電についても、可能な限り、実需給に近い容量市場追加オークションにおいて応札することが望ましい。2023年度(実需給2024年度)追加オークションは開催見送りとされたが、予備電源制度が容量市場追加オークションの妨げとならぬよう、慎重な制度設計が期待される。

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