都市ガス・熱供給事業者のGHG排出量計算、事業者・メニュー別排出係数の算定を公表へ:法制度・規制(3/4 ページ)
温室効果ガス(GHG)を一定量以上排出する事業者に、その排出量の算定と国への報告を義務付けるSHK制度。同制度の報告内容の算出における、ガス事業者・熱供給事業者別の基礎排出係数及び調整後排出係数の導入に向けて、このほど算定方法の詳細や運用方法が議論された。
熱供給事業者の排出係数算出の考え方
「熱供給事業」とは一般的に「地域冷暖房」と呼ばれるものであり、熱供給事業法に基づき、一定地域内の複数の需要家に対して蒸気・温水・冷水等の熱媒を、熱源プラント(ただし熱源設備の加熱能力21GJ/h以上)から導管を通じて供給する事業のことを言う。
熱供給事業者は、主に電気や都市ガス等の燃料により熱を製造しており、電力や燃料の使用量から熱製造時のCO2排出量を算定し、販売熱量をもとに、販売した熱に係る排出係数の算出が可能である。
熱供給事業者別排出係数の公表の範囲と対象
熱供給事業者は、事業者単位、又は営業地域単位で排出係数の算定報告を行う。報告対象事業者については、ガス事業者と同様に、事業者別排出係数の公表を希望する熱供給事業者とする。
よって、事業者別排出係数を公表していない熱供給事業者から供給を受ける特定排出者については、従来通り、省令で定める係数(又は実測等に基づく係数)を使用する。また、熱供給事業者別排出係数公表のイメージは、ガス事業者の表2とほぼ同様である。
熱供給事業者における基礎排出係数の算出方法
熱供給事業者の基礎排出係数は、「基礎二酸化炭素排出量」を「販売熱量」で除したものとする。
このうち、燃料の使用に伴う基礎二酸化炭素排出量の計算にあたっては、使用した燃料が都市ガスであり、当該ガス事業者の事業者別排出係数が公表されている場合は、パターンAの算定式を用いるものとする。
熱供給事業者における調整後排出係数の算出方法
熱供給事業者の調整後排出係数は、「一次調整後二酸化炭素排出量」から、カーボンクレジット等を控除した値「調整後二酸化炭素排出量」を「販売熱量」で除したものとする。
現時点、算定上の控除に活用可能なカーボンクレジット等は、以下のとおりである。
ただし、電力証書の控除可能量は、「他者から供給された電気の使用に伴う調整後二酸化炭素排出量」を上限とする。熱証書についても、他者から調達した熱が控除上限になると考えられる。
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