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2024年度の「供給計画」から考える、10年後の電力需要と供給力の変化:エネルギー管理(5/5 ページ)
このほど電力事業者各社から提出された、2024年度の「供給計画」がとりまとめられた。とりまとめでは電力需要想定や需給バランス、電源構成の変化に関する分析、送配電設備の増強計画などが報告されており、本稿ではそこから見える長期視点での課題を解説する。
供給計画の取りまとめにおいて抽出された課題
小売電気事業者における供給力確保義務の位置づけの変化や、旧一般電気事業者の発電部門における内外無差別の徹底により、長期的な電力卸取引契約が減少傾向である。発電設備容量は、容量市場のメインオークションや追加オークションで必要量が確保されるとしても、火力電源の燃料調達の確実性は低下していると考えられる。
また、データセンター等の新増設は、現時点で蓋然性の高い案件については供給計画において把握されているものの、全くの新規案件に対しては、その都度反映せざるを得ない。そこで広域機関では、「将来の電力需給シナリオに関する検討会」において、マクロ的な将来の電力需要に関する検討を進めている。
また、大規模洋上風力発電等に対応するため、長距離海底直流送電線(HVDC)等の整備が検討されているが、一般送配電事業者にとっても、前例のない不確実性の高い事業となると考えられる。
供給計画の作成は、電気事業者各社にとっても負担の重い業務であるが、DXの活用等により、必要なデータがスムーズに集計されることが期待される。
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