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「需給調整市場」の約定量不足や価格高騰の原因は――エリア・商品別に見る足元の状況第91回「電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会」(1/4 ページ)

2024年4月から5商品すべての取り引きがスタートした「需給調整市場」。しかし足元では約定量不足や価格の高騰が続いている。資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」第91回会合では、エリア別・リソース別の状況が公開された。

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 電力需給バランスの調整を行うために必要となる調整力をより効率的に調達するため、需給調整市場が開設された。2021年度から三次調整力②の調達を開始し、2022年度には三次調整力①、そして2024年度からは、一次調整力、二次調整力①、二次調整力②が追加され、需給調整市場における5商品すべての取り引きが開始された。

 ところが2024年4月以降、需給調整市場における大半の商品・大半のエリアにおいて、大幅な約定量不足や約定価格の高騰が生じており、結果として一般送配電事業者の費用負担も急増している。

 資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」第91回会合では、エリア別・リソース別の詳細な調整力確保状況や調達費用の現状が報告された。

需給調整市場等の調整力確保スケジュール

 電力の安定供給確保のため、需給調整市場での調達不足に備え、セーフティーネットとして図1のように、複数のタイミング・手法により、調整力を追加的に確保する仕組みが設けられている。


図1.需給調整市場等の調整力確保スケジュール 出典:需給調整市場検討小委員会

 週間商品である一次〜三次①の4商品は、実需給の前週火曜日に開催する需給調整市場で未達(調達不足)が生じた場合、一般送配電事業者(TSO)は相対契約に基づき、同週木曜日に市場外調達により追加調達を行う。

 また、予測誤差に対応する調整力(EDC領域)である二次②と三次①は、同じくEDC領域商品である三次②と一定程度の代替が可能であるため、効率的な調達の観点から、週間断面では少なめに調達(本来必要と考えられる3σ相当量ではなく1σ相当量を調達)し、必要に応じて、前日取り引きの三次②の募集量に上乗せするという、二段構えの調達方式としている。前週取り引きで二次②及び三次①の調達未達が生じた場合は、これも三次②の募集量に上乗せすることとしている。

 それでも調整力が不足する場合、一次〜三次②のいずれも、実需給前日15時のタイミングで、余力活用契約を締結した容量市場約定電源から調整力を確保している。

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