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洋上風力入札の“第2ラウンド”、公募結果の分析と各事業のポイント第24回「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」(3/3 ページ)

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業の入札について、いわゆる“第2ラウンド”の結果がすべて出揃った。第24回「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」では、公募結果のポイントとともに、各選定事業者へのヒヤリングが行われた。

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「新潟県村上市及び胎内市沖」区域の評価結果

 「新潟県村上市及び胎内市沖」区域では、4事業者が応札し、村上胎内洋上風力コンソーシアムが240点満点で選定された。当該SPCの構成員は、三井物産株式会社、RWE Offshore Wind Japan 村上胎内株式会社、大阪瓦斯株式会社である。RWE社はドイツの大手電力会社であり、世界2位の洋上風力運営実績(持分容量3.5GW)がある。


表6.「新潟県村上市及び胎内市沖」区域の評価結果 出典:洋上風力促進WG

 同コンソーシアムでは、風車はGE製Haliade-X 250(18MW)を使用する計画としており、風車O&MはGE社、BOP(Balance of Plant:風車以外の発電設備調達・建設工事)のO&MはRWE社とするほかは、主要契約者は選定中の段階である。


図5.コンソーシアムの事業実施体制 出典:村上胎内洋上風力コンソーシアム

「長崎県西海市江島沖」区域の評価結果

 「長崎県西海市江島沖」区域では、2事業者が応札し、みらいえのしまコンソーシアムが総合点221.25点で選定された。当該SPCの構成員は、住友商事株式会社、東京電力リニューアブルパワー株式会社である。

 当該案件では先述の3件と異なり、供給価格は22.18円/kWhである。


表7.「長崎県西海市江島沖」区域の評価結果 出典:洋上風力促進WG

 コンソーシアム構成員の住友商事は、2014年に欧州の洋上風力事業に参画し、合計2.5GWの洋上風力を建設・運営中である。同社では先行案件からの知見に基づき、「長崎県西海市江島沖」区域においてモノパイル式基礎を採用する計画としており、ジャケット式基礎と比べて製造・洋上施工工期を8カ月程度短縮している。


図6.住友商事 欧州洋上風力発電事業 出典:みらいえのしまコンソーシアム

 また同社では、電力の安定供給に向け、強靭で持続可能なサプライチェーン実現のため、リードタイムの短縮と複線化を計画している。このため、風車部品の国産化に加え、コンソーシアム発掘による国内企業を組み込むほか、地元人材の活用や教育機関と連携した人材育成で風車メンテナンスを内製化することを計画している。


図7.選定事業者のサプライチェーン形成計画 出典:みらいえのしまコンソーシアム

今後の洋上風力のさらなる推進策

 現在国は、第3ラウンド公募として、「青森県沖日本海(南側)」60万kW、「山形県遊佐町沖」45万kWの2海域について、公募を行っている。(期間:2024年1月〜7月)

 2040年までの案件形成目標30〜45GWの達成に向けて、再エネ海域利用法の対象範囲(領海及び内水)をEEZ(排他的経済水域)まで拡大するため、同法の改正案を今国会に提出予定としており、産業界では、浮体式洋上風力のコスト低減・量産化の実現に向けて、2024年3月に「浮体式洋上浮力技術研究組合」(FLOWRA)が設立された。

 また国は、洋上風力の事業開発を担う人材、エンジニア、専門作業員の育成に向け、カリキュラム作成やトレーニング施設整備に係る支援を2022年度から実施しており、2024年4月から、支援を受けた事業者によるトレーニング施設が各地でオープンする予定である。今後は、産学が連携した人材育成の枠組構築に向けた検討を進める予定である。

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