ニュース
事業者のCO2排出量算定、「新・基礎排出係数」では非化石証書・J-クレジットを反映可能に:第9回「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会」(4/4 ページ)
一定量以上の温室効果ガスを排出する事業者に対して、排出量の算定や国への報告などを義務付ける「SHK制度」。現在、同制度におけるCO2排出係数の算定方法の見直しが進んでいる。新たな制度においては、事業者が調達した非化石証書やJ-クレジットなども反映可能になる見通しだ。
SHK制度特定排出者の算定方法の変更
従前のSHK制度において、特定排出者は自らJ-クレジット等を調達することにより、自社の調整後排出量を下げることが可能であった。今回の制度変更により、電気・熱の供給事業者が調達した証書等は、電気・熱の基礎排出量から控除可能となるため、需要家自身が調達した証書等についても、自社の基礎排出量へ反映可能とすることが合理的である。
よって今後、SHK制度特定排出者は、自身が調達した非化石証書・熱証書及びJ-クレジット(再エネ電力由来、再エネ熱由来)についても、自社基礎排出量へ反映することを可能とする。
なお、非化石証書の「非化石電源二酸化炭素削減相当量」やJ-クレジット(再エネ電力由来)は、電気事業者から小売供給された電気の使用に伴って発生するCO2量を上限に控除可能であるなど、他の排出をオフセットすることは出来ないことに留意が必要である。
新制度への移行スケジュール
新たな基礎排出係数(排出量)への移行スケジュールは、2024年度末頃に電気の新基礎排出係数の算定・公表を行うとともに、法令・マニュアル等を改正し、特定排出者の2025年度報告(2024年度実績)から適用する予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「エネルギー基本計画」の改定が始動、エネルギー安全保障とGX実現へ――再エネ・原発の行方は?
エネルギー政策の中長期的な方向性を示す「エネルギー基本計画」が見直される。緊迫化した国際情勢に対応し、脱炭素を経済成長につなげる有効なビジョンを策定することができるか。素案は2024年中にもまとめられ、年度内に閣議決定される。
排出量取引制度への参加を2026年度に義務化、その実現に向けた法的課題の論点
企業などが排出する炭素量を取り引きできる「排出量取引制度(ETS)」。現在国内でも試行的に導入が始まっているが、正式な制度化に向け、法的な観点からの整理を行う検討会が設置された。
2024年度の「供給計画」から考える、10年後の電力需要と供給力の変化
このほど電力事業者各社から提出された、2024年度の「供給計画」がとりまとめられた。とりまとめでは電力需要想定や需給バランス、電源構成の変化に関する分析、送配電設備の増強計画などが報告されており、本稿ではそこから見える長期視点での課題を解説する。

