改正省エネ法に関連する新施策、給湯器の非化石転換や社用車への規制拡大を検討へ:第45回「省エネルギー小委員会」(4/4 ページ)
家庭部門や産業部門等におけるさらなる省エネ・非化石転換に向けて、改正省エネ法に関連した新たな制度や規制の検討が進んでいる。直近の「省エネルギー小委員会」では、給湯器などの非化石転換に向けた施策や、社用・公用車を省エネ法の対象とすることなどが検討された。
社用車・公用車を省エネ法の対象にすることを検討
現在省エネ法では、輸送事業者・荷主に対する規制として、貨物及び旅客を事業として運送する自動車と、貨物を運送する自家用の自動車が制度対象となっている。
しかしながら、旅客を運送する自家用の自動車(家庭以外の社用車・公用車)によるエネルギー使用量は約41万TJ、最終エネルギー消費に占める割合は約4%(運輸部門の約15%)と大きいにもかかわらず、現時点、社用車等は、省エネ法や「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」の対象外となっている。
このため、社用車等によるエネルギー使用量の大きさを踏まえ、今後、省エネ法・SHK制度双方の対象とすることに向けて、検討を行う予定である。
欧州のデータセンターの効率改善に向けた取り組み
世界的な生成AI等の利用拡大に伴い、データセンター(DC)による電力消費量が急増すると見込まれている。従来、省エネ法では制度対象事業者に対して、年平均1%の効率化(省エネ)を求めてきたが、このようなデジタル分野では、さらに大幅な効率改善を促す仕組みを設けることが検討されている。例えば、ベストプラクティスの横展開を促すため、DCのエネルギー使用状況や、効率改善に向けた目標・取り組み方針を公表することが想定される。
欧州委員会は、Energy Efficiency Directive(エネルギー効率化指令)に基づき、EU加盟国に対し、DCごとのエネルギー消費量等の情報公開の義務化を求めており、ドイツはこれらの情報公開に加え、DCのエネルギー効率に関する要件を設定している。
「省エネ・地域パートナーシップ」の立ち上げ
中小企業の省エネ取り組みをさらに促すため、地域の金融機関や省エネ支援機関等との連携枠組である「省エネ・地域パートナーシップ」が7月に立ち上げられた。現時点、170の金融機関、39の省エネ支援機関が参加している。
国は、省エネに関する政策情報や地域におけるベストプラクティスの共有等の各種情報提供等を行うことにより、パートナー機関による省エネ支援の活動を後押しする。本パートナーシップを通じ、各地域の関係者のネットワークが強化され、省エネ専門人材の裾野の拡大や中小企業等の省エネ促進、ひいては地域の省エネの取り組みが加速することが期待される。
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