FIP電源の出力制御順はFITの後に、エネ庁が「市場統合措置」の導入案を公表:第66回「再エネ大量導入小委員会」(4/4 ページ)
資源エネルギー庁はFIT制度からFIP制度への移行促進に向け、新たな施策の検討を開始した。はやければ2026年度から、再エネ電源に対する出力制御の順番を「FIT→FIP」の順に変更する。
制度変更における今後の検討課題は?
エネ庁では、出力制御の順番変更に伴う出力制御の運用や公平性の考え方、システム改修等のスケジュールの詳細は、系統ワーキンググループで議論する予定としている。
他方、単純にFIT電源出力制御を避けるため、書類手続上はFIPに移行しながらも、実際には発電・売電をタイムシフトしない「名ばかりFIP」が現れることも予想される。
なお現在も、FIP電源はゲートクローズ前に一般送配電事業者に発電計画を提出し、同時同量達成に向けた努力を行う義務があり、やむを得ず生じた計画との差分は(不足/余剰)インバランスとして精算する必要がある。
ただし、太陽光・風力発電は発電限界費用がほぼゼロであるため、市場価格が0.01円であっても、手間を掛けて発電を停止することをせず、出力制御時間帯も発電を継続する(余剰インバランスを出す)可能性もあるほか、不足インバランスを避けるために、FIP電源(発電BG)は少なめ(極端にはゼロ)発電量の発電計画を作成提出するおそれもある(不適切な発電計画は、指導の対象となる)。
現在も自然変動電源(太陽光・風力)については、一般送配電事業者(一送)は個々の発電計画を積み上げるのではなく、一送独自でエリア全体の出力予測を行っているが、発電BGが作成提出する発電計画の精度が悪く、エリア全体としてインバランス量が増える場合、一送が調達すべき調整力が増加し、調整力費用が増加することも懸念される。
今後、発電計画を作成すべき自然変動電源(FIP電源や非FIT/FIP電源)が大きく増加することに備え、適切に同時同量を達成するためのインバランス制度等の在り方についても検討が必要と考えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
注目を集める垂直設置型の太陽光発電、ソーラーシェアリング視点で考える課題と提言
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は昨今注目を集める垂直設置タイプの太陽光発電と、ソーラーシェアリングとの関係について解説します。
2030年の導入目標は達成可能か 風力・中小水力・バイオマス発電の現状と見通し
第7次エネルギー基本計画の策定に向けた議論が本格化。第65回「再エネ大量導入小委」では風力発電や中小水力、バイオマスのほか、金融機関、アグリゲーターの業界団体から、足元の状況や今後の見通しなどが報告された。
太陽光の「オフサイトPPA」の実態調査が公開、収益性や今後の普及課題が明らかに
「需要家」「発電事業者」「小売事業者」、オフサイトPPAにおける各プレーヤーの収益性が明らかになった。太陽光発電協会とEPIコンサルティングが、オフサイトPPAの実態調査を実施し、普及に向けた提言を取りまとめた。