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企業の排出量取引制度、2026年度の導入へ本格的な制度検討がスタート:第1回「GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG」(2/5 ページ)
国のGX推進戦略において2026年度の本格導入が計画されている排出量取引制度。国は新たに「カーボンプライシング専門ワーキンググループ」を設置し、排出量取引制度の具体化に向けた検討を開始した。
排出量取引制度の目標設定の在り方
排出量取引制度では、目標水準の算定方法として、基準年度における製品生産量等に業種毎の目指すべき排出原単位を乗じる「ベンチマーク方式」と、基準年度における排出実績に一定の削減率を乗じる「グランドファザリング方式」がある。
ただし、どちらの方式を採用するかは固定的ではなく、対象部門や制度期間(フェーズ)により方式を変えることも一般的であり、EU-ETSやK-ETSでは制度開始当初はグランドファザリングによって排出枠の割当量を決定し、次第にベンチマーク方式による割当に移行している。
現在のGX-ETS第1フェーズにおいては、参加事業者が自主的に設定した排出削減目標は、業種間の差や、同一業種内の事業者間の差が大きく、目標水準の客観性・公平性に課題がある。よって、第2フェーズ以降は、政府が策定した指針と整合する目標設定を企業に求めることを想定している。
なお目標設定においては、業種ごとの特性や、各社のこれまでの取組の状況等を考慮することとしており、この典型例が「カーボンリーケージ」対策である。一国のみで厳格な排出削減目標が課された場合、産業の国外移転や他国製品の輸入増加が生じることにより、世界全体としては排出削減が進まないことが懸念される。このため諸外国のETSにおいては、リーケージリスクの高い業種に対して、排出枠の無償割当や炭素国境調整措置、削減目標の緩和等が措置されている。
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