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企業の排出量取引制度、2026年度の導入へ本格的な制度検討がスタート第1回「GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG」(3/5 ページ)

国のGX推進戦略において2026年度の本格導入が計画されている排出量取引制度。国は新たに「カーボンプライシング専門ワーキンググループ」を設置し、排出量取引制度の具体化に向けた検討を開始した。

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排出量取引制度の目標達成に向けた規律強化

 ETSの目標達成の規律として、諸外国等では、排出実績と同量の排出枠を償却すること(又はベースラインから超過した量と同量の排出枠を償却すること)という義務を課した上で、炭素比例のペナルティや償却義務の残存(無償割当てから控除)により、排出削減の実効性を担保している。


表2.諸外国等における償却義務に違反した場合の措置出典:GX実現に向けたCP専門WG

 他方、GX-ETS第1フェーズでは、参加企業がその自主目標を達成できない場合には、目標達成状況やその理由、クレジット等の取引状況を対外的に公表することを求めているが、クレジット等の購入は義務としていない。

 EUでは炭素国境調整措置(CBAM)による証書購入(輸入課金)が2026年に開始されるが、EU域外で支払われた炭素価格をCBAM証書価格から控除することが可能である。英国や豪州等もCBAM導入について検討しており、今後、ETSの実効性をさらに高める観点から、目標達成のための規律強化が求められている。

また、義務履行や取り引きの前提となる排出量実績の算定について、正確性を担保する観点から、排出量実績に対する検証を第三者機関が行うことも想定している。

ETSにおけるカーボン・クレジットの扱い

 カーボンプライシングのうち、排出量取引制度はGHG排出の「総量」をコントロールする制度であるため、その目標達成手段として、当初の「排出枠」のほかに外部クレジット(カーボン・クレジット)の使用を許容するか否かは重要な論点となる。

 GX-ETS第1フェーズでは、社会全体での効率的な排出削減を促す観点から、J-クレジットやJCMの外部クレジットを目標達成に活用可能としている。

 諸外国では、現在のEU-ETSや英国のUK-ETSは外部クレジットの活用を認めていない一方、米国カリフォルニア州や豪州、韓国においてはクレジットの活用を認めているなど、制度期間(フェーズ)によっても、クレジットの扱いは異なると考えられる。また、ETSで利用可能とするクレジットの種類(由来や活用技術等)や使用量(比率)についても検討が必要となる。


表3.諸外国等のETSにおけるカーボン・クレジットの扱い 出典:GX実現に向けたCP専門WG

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