再エネ電源を電力系統の「調整力」に、活用方法の検討がスタート:第50回「需給調整市場検討小委員会」(2/5 ページ)
出力が変動する再エネ電源の大量導入に伴い、電力系統の安定化に必要な「調整力(ΔkW)」の確保が重要となっている。政府ではこの調整力にFIP電源等を活用する検討を開始し、このほどその課題整理や技術・制度面での検討が行われた。
変動性再エネ電源の調整機能
変動性再エネはインバータ(太陽光発電であればPCS)を介して系統連系しており、その出力はインバータにより制御される。インバータ制御は速やかな応動や精緻な出力調整が可能であるため、調整力としての応動も高速・精緻であり、これは安定電源と比較して変動性再エネが優れた点であるといえる。
変動性再エネ電源の調整機能については、国内外で複数の実証試験が行われており、いずれの事例でも、インバータによる精緻な制御により、需給調整市場の商品要件を満足するような調整力の供出も可能であることが確認されている。
ただし、需給調整市場に対して調整力を供出するためには、各商品の応動時間や指令間隔に応じた調整力発動指令に従うことのできる機能が必要となる。このような制御機能をインバータ(PCS等)に具備するためには、数年単位の開発・実装期間を要すると考えられている。
需給調整市場における変動性再エネ調整機能の活用
変動性再エネ(FIP電源等)の調整機能の活用方法としては、需給調整市場で取引する調整力だけでなく、発電BG自身が計画値同時同量を達成するための市場外での活用などがある。小委員会では、まずは需給調整市場における「上げ調整力」について、変動性再エネ活用に関する制度面の課題検討を行った。
変動性再エネが需給調整市場に参入するにあたっては、需給調整市場の「応札スケジュール」「入札ブロック時間」「アセスメント・ペナルティ」等が、現時点の主な課題であると考えられる。
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