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再エネ電源を電力系統の「調整力」に、活用方法の検討がスタート第50回「需給調整市場検討小委員会」(4/5 ページ)

出力が変動する再エネ電源の大量導入に伴い、電力系統の安定化に必要な「調整力(ΔkW)」の確保が重要となっている。政府ではこの調整力にFIP電源等を活用する検討を開始し、このほどその課題整理や技術・制度面での検討が行われた。

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需給調整市場のアセスメント・ペナルティ

 需給調整市場で調整力の要件を満たさないリソースが参加した場合、電力の安定供給に悪影響を及ぼすことから、約定したリソースに対して「アセスメントI」(ΔkWの供出可否の確認)及び「アセスメントII」(応動実績の確認)を実施し、それらの結果に応じて金銭的ペナルティや市場退出ペナルティを課すこととしている。


表3.需給調整市場のリクワイアメント・アセスメント 出典:需給調整市場検討小委員会

 アセスメントIでは、「GC(ゲートクローズ)時点」の発電計画と発電可能上限の差分が落札量(=約定量)以上であれば、「適合」と判定される。変動性再エネの場合、実需給断面の天候次第で、現実に供出可能なΔkW量が落札量ΔkWを下回ることも起こり得るが、GC時点の適合判定は変わらないため、不適切な判定となることが起こり得る。


図5.アセスメントIのイメージ 出典:需給調整市場検討小委員会

 またアセスメントIIでは、一般送配電事業者からの調整力指令に対して適切に応動していたかどうかを事後的に評価する。変動性再エネの場合、実需給断面の天候次第で出力が低下するため、約定ΔkWを全量供出できない状態となり、アセスメントII不適合と判定されることも考えられる。

このようなアセスメントII不適合を避けるため、再エネ発電事業者(調整力提供者)は、ある程度の予測誤差(下振れ)を考慮した上で、ΔkW応札量を小さめにすることが必要となり、非効率性が生じることとなる。またアセスメントII不適合を避けるため、そもそも需給調整市場へ参入しない、という判断もあり得る。


図6.変動性再エネ アセスメントIIの不適合 出典:需給調整市場検討小委員会

 今後、再エネ予測精度が向上すれば、事態はある程度改善すると期待されるが、変動性再エネのアセスメントII不適合リスクは今後も残ると考えられる。よってこの課題への対応策として、アセスメントIIの条件緩和やペナルティを軽減することも考えられるが、実需給断面で調整力供出の確実性がないリソースに対して、ΔkW対価を払うことの適切性について検討が必要となる。

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