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中部・西日本で電力の周波数品質が低下、その要因分析と今後の対策第101回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(3/4 ページ)

電気の品質指標の一つである「周波数」。昨今、中部から九州にかけての中西エリアの周波数品質の悪化傾向が続いている。広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」ではその要因や対策状況が報告された。

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地域間連系線における潮流変化の影響

 東エリア50Hz系統と中西エリア60Hz系統間のFC(周波数変換所)は直流で制御されているため、連系線潮流計画値に対して実潮流は高速に追従する。現在、この変化量は最大540MW/分に上り、これは火力(GTCC)20台以上に相当する変化速度である。

 FCに潮流が流れると潮流量に応じた電圧低下が生じるため、これを調相設備で補償しているが、調相設備の開閉器は、動作回数に応じた点検・手入れ(FCの停止)が必要となる。

 調整力の広域運用開始により、連系線の潮流は2020年から15分周期で、2023年以降は5分周期で変化するため、何も対策を取らない場合、非常に高頻度で調相設備が開閉することとなる。これを避けるため、平時には調相設備の開閉が不要な範囲で潮流制約(段差制約)を設定している(広域予備率低下時には段差制約を解除)。なお、卸電力市場取引(30分単位)への影響を避けるため、毎時00分、30分は段差制約を設けていない。


図4.±0.1Hz滞在率と連系線変化量(4〜5月) 出典:中部電力PG

 2021年4月の飛騨信濃FC(900MW)運開以降、300MW以上の大きなFC段差の発生頻度が増大しており、FC潮流の変化(FC段差)による一時的な需給不均衡の発生が、周波数品質低下の一因と考えられている。なお、市場取引の拡大により、連系線潮流計画値(P0)自体の変動量も増加している。

 系統周波数を一定に維持するためのLFC(負荷周波数制御)方式として、国内では「FFC」と「TBC」の2つがあり、中西エリアはTBC方式を採用している。

 TBC方式では、それぞれの一般送配電事業者が自社エリア内の需給ギャップを解消するよう調整を行うが、連系線潮流計画値への追従の過程で「出力増」エリアと「出力減」エリアの変化速度差により一時的に需給不均衡が生じることがあり、これが周波数品質低下の一因と考えられている。


図5.LFCのFFC方式とTBC方式の違い 出典:中部電力PG

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