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地域間連系線の運用容量拡大策 EPPS動作条件の見直しと負荷制限の織り込み:第3回「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」(5/5 ページ)
電力系統の品質を維持するため、隣接エリアの周波数が低下した場合に、電力を瞬時に送電する「EPPS(緊急融通制御)機能」。しかし近年、周波数品質の悪化によりその機能が動作確実性が不安視されている。そこで電力広域機関の作業部会では、EPPS機能の新たな運用方法などについて検討を開始した。
中国九州間連系線(九州向き)の状況
中国九州間連系線の運用容量は周波数維持制約で決まっているが、元々「九州向き」にはkWh取引が少なく(潮流がほとんど流れず)、運用容量の拡大ニーズが無かったため、負荷制限が織り込まれていない。このため「九州向き」の運用容量は、「中国向き」と比べて、著しく小さな運用容量が設定されてきた。
ところが、容量市場の開始により、供給力(kW)が不足する九州エリアでは、連系線運用容量不足が一因となり、中国以東エリアの供給力kWを十分に活用することが出来ず、供給信頼度が低い状態が続いている。このため、九州エリアでは容量市場で約定処理上の市場分断により、約定価格が上昇することや、追加調達オークションの開催により、供給力確保のための費用負担が増加している。
今後、広域機関は九州電力送配電と連携し、負荷制限織り込みによる運用容量(周波数制約)の拡大について検討を行う予定としている。
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