バイオマス発電の排ガスからCO2を90%分離回収、タクマが24時間の連続稼働実証:自然エネルギー
バイオマス関連事業を手掛けるタクマが、「真庭バイオマス発電所」(岡山県真庭市)でCO2を分離回収するシステムの実証を開始した。
タクマは2024年11月25日、同社が設備を納入した「真庭バイオマス発電所」(岡山県真庭市)に、化学吸収法により排出されるCO2を分離回収するシステムを導入し、24時間連続での稼働を検証する実証試験を開始したと発表した。
ごみ処理施設やバイオマス発電施設などの燃焼排ガスは、ガス量が多い一方でCO2濃度が低いことが特徴。この排ガスからCO2を高純度で回収するためには、吸収液を用いた化学反応によりCO2を吸収し、その後高温で加熱をすることでCO2を放散・回収する化学吸収法という手法が用いられるが、加熱の際に多大な熱エネルギーを必要とすることから省エネルギー化が課題となっている。
タクマまではこの省エネルギー化に向けて、2018年から産業技術総合研究所と共同で、従来の吸収液より低温でCO2を放散できるなどの特長を持つ新規の非水系吸収液の開発を進めている。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業における技術調査、同社播磨工場での吸収液評価試験を行うなど、システムの実用化に向けた取り組みを進めてきた。
今回、真庭バイオマス発電所では、実際に稼働している出力10MWの施設において、排ガス中のCO2を1日当たり0.5トン規模で分離回収する装置を新設。実施期間は2024年7月から2025年6月までの1年間で、9月後半から装置の24時間連続稼働を開始した。。
実証では、排ガス性状の変動に適時に対応するための制御応答性や、高いエネルギー効率で稼働するための運転条件などを検証し、排ガスに含まれるCO2のうち90%を分離回収できる技術の確立を目指すとしている。
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