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広がる蓄電池の新ビジネス 系統用蓄電システムの需給調整市場における収益性試算が公表第4回「定置用蓄電システム普及拡大検討会」(4/4 ページ)

大型の系統向け蓄電池と電力市場を組み合わせた新たなビジネスが広がる昨今。「定置用蓄電システム普及拡大検討会」の2024年度第4回会合では、系統用蓄電システムの需給調整市場における収益性の分析結果などが公表された。

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長期エネルギー貯蔵技術(LDES)の動向

 世界的に変動性再エネ電源の増加やレジリエンス向上のニーズが高まっており、安価に、より長時間(数日以上)、電力を貯蔵する技術の必要性が増している。また、リチウムイオン電池(LIB)はリチウムなどの希少資源に依存しているため、資源調達リスクの低い蓄電システムが求められている。

 そこで資源エネルギー庁では、世界的に技術開発や実証試験が進められている新たな「長期エネルギー貯蔵技術(LDES)」について、整理を行った。

 LDESは、主に電気化学式、機械式、蓄熱式、化学式に分類され、電気化学式の代表格であるLIBと比較すると、低コストでの長時間kWhの供出が可能、慣性力提供が可能、耐用年数が長い、資源制約が小さい、火災のリスクが低い等の長所を持つ技術が多い。

 表5の「CAES」は圧縮空気貯蔵システム、「LAES」は液化空気貯蔵システム、「PTES」はヒートポンプ技術を使った蓄熱蓄電システム、「PtGtP」は電気を水素ガス等に変換し、当該ガスを電気に変換するシステムである。このうちCAESは、カナダで既に商業運転中の設備がある。


表5.LIBと比較した際のLDESのメリット等 出典:三菱総研

 LDESは放電時間が長いことが最大の特徴であるが、これにより、放電時間が長くなるほどkWh当たりの資本費(CAPEX)が低下することになる。LIBも2030年には資本費が大きく低下すると想定されているが、長時間放電で比較すると、LDESの方が資本費が低くなる傾向は変わらないと考えられている。


図8.放電時間とCAPEX(万円/kWh)の関係(2030年度) 出典:三菱総研

 長期脱炭素電源オークションでは、揚水発電と蓄電池を原則技術中立的に扱ってきたが、第2回入札(2025年1月)では、長時間の運転継続ができる蓄電リソースの導入を促進する観点から、募集上限を「運転継続時間が3時間以上6時間未満」の案件と、「運転継続時間が6時間以上」の案件に分けて設定することとした。

 今後は他のLDESについても、諸外国の技術動向を注視しながら、技術中立的に導入を促進することが期待される。

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