2040年の発電コスト検証のとりまとめ 再エネは「統合コスト」も考慮へ:第5回「発電コスト検証WG」(4/6 ページ)
第7次エネルギー基本計画の策定に向けて、将来の各電源の発電コストの検証が進んでいる。第5回「発電コスト検証ワーキンググループ」ではその試算が公開された。本稿ではその中から、主要な電源のコスト検証結果をまとめた。
化石燃料火力発電のCO2対策費用
火力発電の2040年発電コストの検証において、燃料費と並び大きな内訳を占めるものがCO2対策費用やCCS費用である。
CO2対策費用は環境外部費用の一部を内部化するものであるが、環境外部費用の全てをコスト換算することは困難であるため、その次善策として、排出量取引制度のCO2価格を用いることとしている。今回の発電コスト検証では、これまでと同様にIEA「World Energy Outlook 2024」(WEO)におけるEUの「公表政策シナリオ」(STEPS)を基本ケースとして、「表明公約シナリオ」(APS)や韓国のSTEPSを参照し、EU-ETSや韓国K-ETSの平均価格を参考値として、幅をもって示すこととした。
前回2021年検証では、2030年のCO2対策費用は4,280円/CO2t($40/CO2t×107円/$)であったので、今回の2040年CO2対策費用は4倍以上に増加したことになる。なお2051年以降は、2050年の価格を横置きする。
2040年CCS付LNG火力の発電コスト
現在国は、2030年までの事業開始を目標とする9案件を「先進的CCS事業」として採択しており、10カ所の火力発電所におけるCO2分離回収の設計等を支援している。前回2021年コスト検証までは、CO2対策費用とCCS費用が一体的に捉えられてきたが、今回のコスト検証から、両者を分けて検証することとした。
LNG火力の場合、CCSを付加することにより、発電効率は4.5%低下、所内率は3.7%増加すると想定し、CO2の分離回収方法は化学吸収法を用いて回収率90%と設定する。分離回収されないCO2は、CO2対策費においてコスト計上する。
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