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2040年の発電コスト検証のとりまとめ 再エネは「統合コスト」も考慮へ第5回「発電コスト検証WG」(5/6 ページ)

第7次エネルギー基本計画の策定に向けて、将来の各電源の発電コストの検証が進んでいる。第5回「発電コスト検証ワーキンググループ」ではその試算が公開された。本稿ではその中から、主要な電源のコスト検証結果をまとめた。

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原子力発電(2023年)のコスト検証

 原子力発電においても発電に直接関係するコストだけでなく、廃炉費用、核燃料サイクル費用(放射性廃棄物最終処分含む)など将来発生するコスト、事故対応費用(損害賠償、除染含む)、政策経費(電源立地交付金や研究開発等)といった費用も織り込んで試算した。

 繰り返しとなるが、これは新たな発電設備を建設・運転した際の発電コストであり、既存の発電設備を運転するコストではないことに留意願いたい。

 コスト検証の方法は原則、前回2021年検証と同じであるが、すべての項目で費用が増加する試算結果となった。


図8.原子力発電コスト(2023年)の内訳 出典:発電コスト検証WG

 原子力についても従前から感度分析を行っており、前提条件の変化により、以下のようなコストアップが想定される。

  • 建設費・追加的安全対策費1,000億円増 ⇒ +1.0円/kWh
  • 廃止措置費用2倍 ⇒ +0.1円/kWh
  • 事故廃炉・賠償費用等1兆円増 ⇒ +0.004〜0.01円/kWh
  • 再処理費用及びMOX燃料加工費用2倍 ⇒ +0.6円/kWh

 また図8は運転年数を40年と想定した発電コスト(政策経費あり12.6円〜/kWh)であり、60年運転を想定する場合、11.7円〜/kWhとなる。

 次世代革新炉(革新軽水炉、SMR=小型モジュール炉、高速炉、高温ガス炉、核融合)については、まだ基本設計や概念設計が確定しておらず、正確なコスト試算を行うことが困難であるとして、コスト検証は見送られた。

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