太陽光発電の最新コスト動向 新規導入の低迷を受け「初期投資支援」の検討も:第100回「調達価格等算定委員会」(5/5 ページ)
第100回「調達価格等算定委員会」で、2026年度の太陽光発電の調達価格などの試算が公表。また、昨今の新規導入量の低迷に対する対策として、「初期投資支援スキーム」など新たな施策の検討も行われた。
支援スキームの導入時期とペロブスカイト太陽電池への対応
住宅用・事業用太陽光のいずれも、すでに2025年度のFIT調達価格/FIP基準価格が設定されており、いつから「初期投資支援スキーム」を開始するかは難題である。
初期投資支援スキームの内容が魅力的であるほど、建物所有者(個人・事業者)はFIT/FIP認定の時期を、初期投資支援スキームの開始まで(2026年度や2027年度であろうが)先送りする(買い控えする)インセンティブがあり、その間、屋根設置太陽光の導入が停滞するおそれもある。
逆に、初期投資支援スキームの内容が魅力的でなければ、屋根設置太陽光の導入ペースは従来と変わらず、制度を複雑化させる意味は薄いと言える。
屋根設置太陽光設備導入の判断は、建物所有者(個人・事業者)だけなく、設置事業者からの提案活動も重要な役割を担っていると考えられるため、幅広い業界関係者にとって、使いやすい制度であることが望まれる。
ペロブスカイト太陽電池用の新区分の創設を検討
軽量・柔軟なペロブスカイト太陽電池は、第7次エネルギー基本計画において、2040年までに累積導入量:約20GW、発電コスト:10〜14円/kWh以下を目指すことが記されている。また発電コスト検証WGにおいて、ペロブスカイト(設備容量250kW、設備利用率14%、稼働年数20年)の2040年LCOE(均等化発電原価)は、16.5円/kWh(政策経費あり)、15.3円/kWh(政策経費なし)と試算されている。
FIT/FIP制度で支援を行う電源は、国民負担の抑制や、将来的に自立化する見込みがあることを前提とする必要がある。
このためペロブスカイト太陽電池についても、再エネ賦課金の抑制と、適切な自家消費を促す観点から、発電コストが電気料金水準未満になる時点を目安に、新区分による支援を開始する方向で検討を継続することとした。当面は、他の新技術と同じく、補助金等による導入が進むと期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ペロブスカイト太陽電池の政府戦略 2040年20GW導入・発電コスト10円を目標に
次世代太陽電池として大きな注目が集まっているペロブスカイト太陽電池。国としての普及施策を検討してきた官民協議会は、このほど将来の導入量や発電コストの目標などをまとめた。
第7次エネルギー基本計画の原案が公開 2040年の電源構成は再エネが最大想定に
資源エネルギー庁が第7次エネルギー基本計画(エネ基)の原案を公開。エネルギー政策の原則は維持しつつ、2040年やその先を見据えた新たな政策課題や、その対応の方向性などを織り込んだ。
積水化学がペロブスカイト太陽電池を量産へ シャープの工場を取得
積水化学工業がペロブスカイト太陽電池の量産化を開始すると発表した。まずは2027年に100MW規模の製造ライン稼働を目標に設備投資を進め、2030年には生産体制をGW級まで拡大したい考えだ。
