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2026年度から始まる「排出量取引制度」 制度全体の論点と今後の展望:第5回「GX実現カーボンプライシング専門WG」(6/6 ページ)
2026年度から本格的にスタートする排出量取引制度。第5回「GX実現カーボンプライシング専門WG」では、同制度全体に関する論点が取りまとめられた。本稿ではその概要を紹介する。
サプライチェーン全体での排出削減の推進
社会全体で脱炭素化を進めるためには、ETSの裾切基準(直接排出量10万トン)未満の企業における取り組みが非常に重要である。
これらの企業の多くは、サプライチェーンの中流・下流に位置しており、脱炭素化された上流の原材料(例えば、グリーン鉄)の積極的購入や、中小企業に対する脱炭素化支援など、サプライチェーン全体での取り組みを主体的にリードしていくことが求められる。
よって、国はETS対象外の事業者に対して、Scope3(特に上流)の目標設定や実績開示等を求めるなど、GXリーグの見直しを検討する。
排出量取引制度は、世界でさまざまなタイプの制度が存在し、それらの制度も多くの見直しが行われてきた。ETS第2フェーズについても、社会情勢の変化等を踏まえながら継続的に制度の点検を行い、必要な場合には、予見可能性を十分に確保したうえで、制度の見直しを行うこととしている。
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