データセンターの省エネを強化 事業者に定期報告や自主開示を求める方針に：第47回「省エネルギー小委員会」（1/4 ページ）

AIの普及などを背景に、今後日本国内でも多くの新設が見込まれているデータセンター。それに伴う電力需要の増大を見据え、資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会では、データセンターのさらなる省エネ施策を検討。事業者に対し、省エネ法に基づく定期報告や中期計画の提出、自主的な情報開示などを求める方針だ。

[梅田あおば，スマートジャパン]

　「GX2040ビジョン」（案）において、AIの活用は、産業構造の高度化に不可欠であり、成長と脱炭素の同時実現を目指すGX（グリーン・トランスフォーメーション）の効果を最大化させると記されている。また第7次エネルギー基本計画（案）では、DXやGXなどの進展に伴う電力需要増加の可能性を見据え、データセンターのエネルギー効率の改善に向けた取り組みを強化することが重要であることが述べられている。

　データセンター（DC）の電力需要の将来見通しは研究機関やシナリオにより大きな幅があるものの、DCの2050年度の電力需要を43〜211TWh（1TWh＝10億kWh）と想定する試算もある。現在の国全体の電力需要は900TWh程度であるため、DCにより最大2割程度の需要増加が見込まれる。

図1.データセンターの電力需要見通し　出典：電力中央研究所

　このため、資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会では、DCのさらなるエネルギー効率化（省エネ）に向けた取り組みの拡大について検討を行った。

データセンター（DC）に対する現行の省エネ規制

　省エネ法における定期報告制度では、対象事業者（特定事業者等）に対して、エネルギー使用量やエネルギー消費原単位の改善（原則、毎年1％）を求めている。

　また、データセンター（DC）事業を行う特定事業者は、ベンチマーク制度に基づく一定の省エネ水準の達成が求められており、現在の目標は、2030年までにPUE（Power Usage Effectiveness）を「1.4以下」と定めている。PUEは、「DC施設全体の消費エネルギー」を「IT機器の消費エネルギー」で割った値であり、PUEが1.0に近いほどエネルギー効率的であることを意味する。

図2.データセンター業のベンチマーク指標・目標　出典：省エネルギー小委員会